総 論 〜流言飛語とヘイトスピーチ10〜
貴 方――此の文章を読んで下さっている貴方です――が、討論なり意見交換会なりへ向かうとしましょう。何らかのプレゼンテーションも知れません。勿論確固たる信念を持つなり、何時間もかけて調べた資料を用意出来たのでも構いません。兎に角少なからず自信もあります。
事前に用意した文言、もしくは即興で浮かんだ慣用句を交えながら、弁舌巧みに言い終えました。手応えを感じながら周囲の反応を伺っていると、誰かがこう 言います。
「ア
イツは低所得・低学歴、しかも無職でニートの幼女趣味の差別主義者で犯罪者だ！そんな人間の言う事なんて間違っている！騙されるな！」
分かりますか？
どこかで聞いた話、ではなく、冒頭のお 三方や反ネトウヨの方たちが仰っているのはそういう次元の話です。
彼らはネットウ ヨクの主張を検証する事はなく、連中は人間として底辺に居るのだから信用するに値しないと。
百歩譲って其の情報が正しいのであれば、ある程度受け入れる余地はあります。
例えば本国で入国する外国人の指紋・顔写真の登録が義務化されている国の人間が、日本へ来て自分達の指紋を採られそうになると「人権侵害だ！」と言って も説得力が無いように、社会的に未成熟な人間が世間の厳しさを唱えても賛意し難い人も居るでしょう。
（理想論としては“誰”が言ったのではなく、“何”を言ったのかで判断されるべきなのでしょうが、中々そうもいきません）
しかし何度も繰り返しますが、「ネットウヨクが○○で ある！」と断言する（○○の中には犯罪者や社会不適号者などの極めてネガティブな単語が入る）方は、一度たりとも自分達の私見の根幹となる、ネットウヨク 像が事実であると証明した試しがありません。
要は自身と異なる思想の相手へ対し、「連中は○○だから信用に値しない」と連呼しているだけの人間なんですね。
問題点は其所だけではなく、ネットウヨクという存在の定義自体が曖昧です。「ネットウヨクは差別主義者！」と宣う方やメディアは結構ありますが、其の 実、実際に存在するのか、また居たとしてどれだけの人数なのか、調査が試みられた事はありません。
一休和尚の逸話の一つ、『屏風の虎退治』に似ています。
足利義満が一休に出した問題の一つ。「屏風
絵の虎が夜な夜な屏風を抜け出して暴れるので退治して欲しい」と義満が訴えた。一休は｢では捕まえますから虎を屏風絵から出して下さい｣と切り返し、義満
を感服させた｡
ネットウヨクを攻撃する方々は「ネットウヨクが○○ （考え得る限りの悪意に満ちた差別用語）」だと主張されます。
しかし現実に彼らからアンケートを取ったのか？と言え ば否、また現実世界でそういう活動をしているのを見たのか？と訊いても大抵は沈黙されるか、「ネットで見た」。
また其程酷い言動を繰り返す個人・団体であるならば、 名誉毀損や侮辱罪等で訴えた方が良いのでは？と勧めても、「訴える相手が見つからない」と。
では一体あなた方は、何を根拠にしてネットウヨク像（社会的底辺や差別主義者であるという）だという根拠を得たのですか？と、問いたいです。
そして「大した 根拠も無しに、精々ネットで流れていた流言飛語を鵜呑みにして、特定の思想・信条を持つ個人・団体を差別主義者だと言うのは、あなた方がネットウヨクと批 判している人間達とどう違うのでしょうか？」とも。
自分達が批判する相手の事は知らない、存在するかどうかの証明も出来ない、だが彼らは確実に差別主義者である――どうにも都市伝説や現代の怪談を訊いて いるような。
ネットを通じて保守的な政治活動をしている人間もいらっしゃるでしょう。ですが、彼らが“ネットウヨクの定義（所謂差別主義者）”に当て嵌まるのかどう か、調査をした人間も試みた人間も今まで一人も居ません。
答えは簡単です。ネットウ ヨクという存在の定義すら出来ないからです。彼ら――仮に反ネトウヨでも称しましょうか――に言わせれば、ネットウ ヨクとは犯罪者であり、差別主義者であり、低学歴・低所得の社会の落伍者である、と。
ですが、過去そう いった人間が居たのか具体的に挙げて欲しい、と問うても答えは得られないでしょう。三橋氏のような社会的に真っ当な人間ですら、“韓国にネガティブな発言 をする”という理由だけで“極右”というレッテルを貼られました。
小林よしのり氏が仰っていたフジテレビデモに参加する人間は居ます。
しかし彼らを称するならば精々“普通の日本人”です。ネットウヨクと称した事はありません。少なくとも参加した方々や参加を呼びかけるチラシには載って いませんでした。
では小林氏は 何を根拠にして「フジテレビデモに参加する人間はネットウヨク」だと仰ったでしょうか？加えて低所得である、年齢が高い、結婚出来ないと断言されているの ですから、当然裏付けが無ければ、其れは、只の、偏見ですよね？
デモの映像は検索すれば幾らでも出て来ますし、彼らの主張もまた自由に見る事が出来ます（長くなるので取り上げませんが）。
基本的に反ネトウヨの方は様々な部分が矛盾しています。
仮に譲って、低所得・低学歴で無職独り身の某君が本当 に居たとしましょう。彼がネットなり現実なりで保守的な言動をしたとします。フジテレビデモにも参加しました。AKB48（というアイドル グループ）が嫌いというのも含めましょう。
ですが、彼が活動していた原動力が嫉妬や現実への不満 の裏返しだったり、何故行動するに至ったかの動機は、彼自身しか知り得ない事です。
其れを第三者がどうこう、社会的な ステータスを元に邪推した挙げ句、其のステータスが平均より劣っているからと言って、「信じるな！」と言うのは深刻な差別ですよね？
マスコミや関係者が面白可笑しく書き立て、誤解が一方的に広まり、修復不可能になってしまった分かりやすい例として挙げています。
小林よしのり氏のコメントを再びお借りすれば、
『い
や、どうせ商売でやってるんだからとしか思わない。今不況だからなとか、広告が取れないんだろうなとか、安いからねとか。わかっちゃってるわけじゃない』
との事ですが、ある意味本質を突いていると思います。
NHKを含む全てのマスコミは放送業者、または出版業者です。一言で言えば営利業者以外の何物でもありません。全ては”利益”を目的に行動している団体です。
だからといって「利益のためにどんな報道をしても許さ れるのか？」と言えば、肯定する人間は極めて少数だと思います。
今から百年と少し前、日比谷焼き討ち事件が起こりました。ポーツマス条約（日露戦争後締結、賠償金は得られなかった）を不服とする若者達が主となった暴 動です。
では”何故”起こったのでしょうか？当時の新聞にはこう書いてあります。
「講和会議は主客転倒」「桂太郎内閣に国民や軍隊は売られた」「小村許し難し」
（1905.09.01 朝日新聞）
賠償金が少ない、と戦争を続けるべきかのような政府批 判をしていました。
「当時のメディアは戦争に反対していたんではないか？言論統制もされていたんだろうし」と思うでしょうが、検閲が 入ったのは太平洋戦争が開戦してからです。
むしろ以前は強国入り、先進国入りを目指していた（開戦も含む）、というのが事実です。つまり新聞を”売る”ため、読者に受けの良い記事――戦争を煽っ ていたんですね。
サンカも顕著な例です。マスメ ディア側の人間は売れるためであれば捏造を平気で行い、また同業他社も追随し、訂正は一切為されていないという歴史があります。しかも質が 悪い事に今日へ至っても改善される気配は皆無です。
本文では自民党が数多く出て来ますが、贔屓しているつもりはありません。ただ現代で最も分かりやすい例として、自民党や取り巻く政治報道が適しているか らです。
デフレで物価が下がったため、年金支給も下げようと数年前に同党が提案した事がありました。しかし当時は野党とマスコミが毎日毎晩「弱いものイジメ！」 「格差社会」「強行採決」等と叩くに叩き、結局給付金額の引き下げは為されませんでした。
現在（2012年6月時点）、当時野党だった人間は与党となり、野党時代に自分達が反対していた政策案――年金を引き下げる法案を来年度の常会へ出すと いう報道がありました。報道機関や庶民目線のコメンテーターの方々も、此といって異論を挟んでいません。
唐突ですが益体も無い小咄を。とある識者さんにインタビューを試みましたという体で。
――今回のデモについて如何お考えでしょうか？
「駄目だね。彼らは低所得・低学歴な上に対人コミュニケーション能力に乏しい。だから嫉妬しているに過ぎない」
――では今回のデモは政治的なメッセージ性に乏しいと？
「其の通り。彼らは一人では何も出来ない弱者の群れだ。集団心理とも言うべきかね、現実社会に影響は皆無だ」
――最後にデモをしている人間へ一言お願いします
「無駄だから止めなさい。そんな事をしている暇があったら働きなさい。君達がどう足掻こうとも、世界は変えられないよ」
――有り難う御座いました。以上、『格差デモ〜俺達が９９％だ！〜』へのご意見を伺いしました
「ネトウヨの話じゃ無かったの！？」
反格差デモは世界中の人間が憤っているかのように報道し ています。
参加しているのは”普通の市民”であり、特定の思想や 政治背景を持つ団体ではなく、個人が声を上げ始めたんだ――と多くのマスコミで取り上げられています。
ではフジテレビ・花王製品不買デモはどうでしょうか？ 参加した数は累計で数万人、現実に花王製品の売り上げも落ちています。
しかし何故か此 方に参加しているのは”ネットウヨク”であり、”現実では救いようのない差別主義者が嫉妬のためにしている”という評価となります。
どちらも市民が自発的に行動を起こしたものです。思想や目的は違えども、何かを世間へ訴えたいが為に行ったと推測されます。
が、前者――格差デモを”民意”だと持ち上げ、後者を”醜い嫉妬の産物”と扱き下ろしています。誰が、どう、参加している人間を詳しく調べたわけでも無 いのに、です。
いや、報道しているのであればまだ良いでしょう。
フジテレビデモは数社が数日経過してから、花王不買デモに至っては全く報道していません。
そしてまた他の報道局が無視するという構図、サンカ以来何も変わっていません。日本のジャーナリズムは事実を報道するのではなく、”自分達に都合の良い 事”という但し書きがつくようですが。
二年程前、テレビでは毎日のようにカップラーメンの値段やほっけの煮物、漢字の言い間違えや私費でのバー通いを特集で報道していました。また当時の野党 は国会でも其の総理へ対して漢字テストやラーメンの値段を尋ねるなど、極めて牧歌的な光景でした。
翻って2011 年7月、鳩山元総理、菅直人総理（当時）を含む民主党議員が、よど号ハイジャック実行犯と拉致事件の容疑者のご子息が所属している政治団体へ、合計1億を 超える額の寄付をしている事実が国会で取り上げられました。
現在経済制裁中の（自衛以外の武力の行使が認められない日本にとって、可能な範囲では最大限の制裁）北朝鮮へ対し、与党の党首である総理大臣が献金をし ていたのです。
しかし、テレビ ニュースで取り上げたのは関西のローカル局只一社だけでした。他は全て無視しました。未だに理由は分かりません。
少なくとも私にとってほっけの煮付けや乾麺の店頭価格などより、ずっと深刻で大切な問題だと思われますが、報道局の人間にとっては大した事では無かった ようです。
同様にネットウ ヨクもそうです。自身の都合の悪い事は取り上げないか、特定のレッテル（漢字の読めない〜・高級バー通い〜・ほっけの煮付けが〜）を不当に相手を貶めます。
そして自分達に 都合の悪い事実や出来事、側面は全く報道しませんし、貶められた名誉の回復もしません。一社だけでなく、誰一人として責任を取ってきませんで した。
インターネットの発達により、嘘が嘘だと判明する世の中となりました。其れが例えば今まで多くの情報を発信し、都合の悪い事は全て隠してきた（また口を 噤んできた）マスコミ側の信用を脅かすようになります。
北朝鮮の 関連団体への献金を例に取れば、自民党政権時代であれば解散総選挙が行われるまで、繰り返し特番が組まれていたレベルのスキャンダルです。
が、今度は報道しなかったツケを支払わされる事となります。
有志の方がネットで国会中継をブログで取り上げ、見た多くの方が周囲へと伝えます。そういった事が多くなるにつれ、新聞やテレビの信用が下がりました （中には広告を出していたため不買運動へと発展した例もあり、控える動きも広まっています）。
今までならば電波業界から追放すれば良いだけの話でした。テレビや新聞へ苦言を呈して人間が、いつの間にか消えていたという話が時々あります。絶頂だっ たアイドル、毒舌が売りの芸人Kさん（特にラジオでは凄かったらしいですが）、何故かマスコミに逆らうと露出が減っていきました。
女優の宮崎あおいさんの旦那さん（である俳優さん）が、「韓流コンテンツばかりでおかしい」とツイッターで発信したら、公共の電波を使って「彼は差別主 義者だ」と攻撃し、事務所を解雇させました。
しかし今度は各個人がブログやら実生活でやっている政治活動です。
誰がスポンサーになっている訳でもなく、かといって金銭を要求するのではなく、報道姿勢が不満だから是正してほしい、という一点だけ。
なんとかしようにも普通の日本国民が自発的にやっているので止められません。
すると今度はネットで飛び交ってた流言飛語を取り上げ、声高に此の項の冒頭にあった台詞と相成るわけです。しかも渦中のフジテレビはネットウヨクの特番 をわざわざ製作し、報道するに至っています（割とまとな報道だったらしいですが）。
此のテキストを作るに辺り右翼について調べていて気づ いたのですが、戦前と戦後では言葉の定義が真逆になっていて驚きました。
戦前は 「米英を打ち払い、中国・朝鮮と共に亜細亜を開放すべき」と勇ましい事を仰っていました。
戦後は何 故か「中国・韓国・北朝鮮を非難する人間は右翼」という定義へと変わってしまったようです。其の証拠に” 何故か米軍撤退や、脱アメリカを唱える人間は絶対に右翼と呼ばない”からです。
恐らく米 軍撤退や反アメリカの方へ「貴方は右翼じゃないのですか？」と訊ねれば、違うと仰るでしょう。基地を問題としているだけ、もしくは他の国と はもっと仲良くしたい、等と応えるでしょう。
ですが其の理屈 が通るのであればネットウヨクも同じですよね？嫌中・韓国・北朝鮮と言っていたとしても、他の国には言及していませんし。
また某かの理屈――例えば挙げた三ヶ国の方に被害を受けた、と主張するかも知れません。北朝鮮の拉致事件を挙げる可能性だってあります。
反アメリ カが右翼ではないと例外扱いされるのであれば、当然反特定三ヶ国にも其の事項は適応されるべきではないでしょうか？
そもそも反ネットウヨクの仰る定義がおかしいのです。ネット上では様々な国を批評する言論に溢れています。日本を誇りに思うと言う方も居れば、当然逆も あります。
また南米アメリカやEU、アジアを肯定的・否定的に関わらず、色々な処で多種多様な意見が飛び交っています。
しかし彼ら、と いうかマスコミ（含む言論人）は”どうして特定の三ヶ国を嫌う言論をネットウヨクの仕業だと認識した”のでしょうか？右翼が排外主義であれば、同じく外国 であるアメリカやEUを嫌う人間も定義に含んで然るべきなのです。
不思議ですね。右翼とは 特定の思想を持つ人間への呼称、排他的で国粋主義が先行するものである”筈”なのに、どういった理由からか反米に関しては右翼という単語が敬遠され続けて きました。
一体”誰”がそうしてきたのでしょう。社会的影響力のある団体などそう多くはない筈ですし、社会の公器を辞任する団体がダブルスタンダードを許容する筈 もないんですが。
後、出来れば私の書いた文章を信じないで下さい。調べた限りに於いて事実を元に、客観的に考察したつもりですが、所詮はインターネット上の怪文書に過ぎ ません。一部、または全てが偽りである可能性があります。
ですから、是非ご自身でお調べになって頂けませんでしょうか？フジテレビにデモをした人々はどんな主張をしているのか、本当に花王不買デモは起きている のか、と。
また「ネッウヨクは○○である」と主張される方の意見も同程度に読み、其の上結論を出して下さればとも思います。もしも「テレビや新聞”だから”信じる な！」とでも言おうものならば、其れもまた偏見の一形態となってしまいますので。
長くなりましたが、最後までお付き合い下さって有り難う御座いました。願わくは読んで下さった貴方が、虚構のレッテルに惑わされぬよう――。