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被 災地の現状 〜何をすべきなのか〜

   被災地の現状として二日目です。以下の写真は震災”前”です。


 此所は福島県ではなく茨城県北茨城市の大津港です。
(正確には五浦漁港?)
 ちなみに何でこんな場所から撮っていたのかと言えば、此所の近所にあるお社を取材した際、海との位置関係を記録しようとしたためです。
 遠くの方に小さなものがポツポツと見えます。其れは埠頭(と呼んで良いのかどうか迷いますが)で釣りをしている方たちです。

 釣りスポットとして少し有名だそうです。
(近くの漁協直営の食堂の方曰く、より正確には其処の敷地内に立っていた300円でお蕎麦が食べられた食堂ですが)


 そして3.11以後の写真。ほぼ同じ場所から撮影しました。




 酷いものですが……震災後の写真が撮られたのは2012年1月21日、つまり此方もまだ復興していません。


 今日は更に震災後の政府対応について追記したいと思います。


 福島県内の仮瓦礫置き場は震災で発生した大量のゴミで溢れています。処理施設、というか仮でないゴミ処分場を作らねばいけないのですが、遅々として進ん でいません。
 今回の震災で既存のゴミ処理施設では到底処理しきれな い(数十年分の)瓦礫やゴミが大量に発生しました。
 宮城・岩手県の一部の瓦礫は他県で処理頂いており、同 じ被災地に住む人間としては、感謝の意を示したいと思いますが……中には「被災地に処理施設を作って処分した方が良いのでは?」と仰る方も居ます

 私も同じ考えです。が、しかし程度の問題なのです。

 瓦礫とゴミ(面倒なので以下被災瓦礫と呼びます)は通 常の十倍〜数十倍程が発生しました。仮置き場として学校のグラウンド、河川敷、適当な広場を借りて被災瓦礫を置いています。
 ずっと其処へ置いておけば良い、との意見もあるでしょうが、あくまでも“仮”置き場として一時的に徴収したものです。

 以下の写真は豊間小学校です。此所は休校中ですが、グラウンドにはゴミの山が出来てしまっています。
※後日訂正、豊間”中”学校でした



 このように被災瓦 礫は復興の邪魔になる場所を占めており、早く片付ける必要に迫られているとご理解頂けたかと思います。

 例えるのであれば車十台停車されている駐車場があります。駐車場内の設備を整えようと思っても、車が邪魔で重機を入れられません。
 従って停車してある車をどけなければいけない、と。
 ちなみに被災瓦礫を早くどうにかしなければ、しないで居る間だけ復興が遅れるのと同義だと思って下さい。


 では処理施設を被災地で作れば良い、または山奥にでも 第二仮置き場でも設置して移せば良いのではないか、と思われるでしょう。私は賛成です。
 というか宮城・岩手は兎も角、福島県内からの被災瓦礫 は放射性物質の有無に関わらず受け入れて下さる所は無いでしょうし、順当な(他に選択肢の無い)落とし所だと存じます。

 極めて個人的には数多ある人権・平和団体の皆様方が、

『福 島からのゴミの受け入れに反対するのは差別だ!』

と、人道に基づいた行動をして下さるのではないか、と期待していたのですが、現実は宮 城・岩手県の放射性物質が基準値以下の被災瓦礫ですら受け入れるな、と何の根拠も科学的データも示さず、差別を助長する人達や、其れに賛同する方々の姿で した。

 話が逸れました。いやある意味逸れていませんか。
 ともあれ福島県の被災瓦礫は県内で処分しなければならないだろう――というのに、震災から一年四ヶ月が経過しましたが、未だに仮置き場には瓦礫の山が積 み上がっています。
 また其れに伴って主に沿岸部の復旧工事が遅々として進んでいない、というよりも全くの手つかず状態になっています。


 おかしいですね?他の県は復旧が(かなり遅いですが)進んでいるのに、福島県内では除線作業すら碌に始まっていません。
 まぁ何となく分かるでしょうが、答えは“政治”です。

 いえ別に福島県内から選出された議員が野党であるため、陳情が通りにくくなっている、のではありません。其の逆“通ってしまうからこそ出来ない”と推測して います。
 2012年7月現在、福島一区〜五区、全ての衆議院選 挙区では民主党の議員が独占しています。
 また現知事である佐藤雄平知事も民主・社民・公明党の推薦を受けて当選
しています。
(二期目は自民も相乗りとなり共産系と一騎打ちになりましたが)
 よって福島の復興もスムーズに行く……所か、被災瓦礫の処理一つ解決出来ないで居ます。

 他県では受け入れを断られ、また市街地や沿岸部には数多くの被災瓦礫があります。瓦礫をどうにしかしないと、被災地への帰還も難しくなるでしょう。
(現実にスペースを占拠しているのですから)

 で、あれば適当な場所、県内の何処かで大規模な処理施 設、しかも周辺へ放射線の影響が出ても最小限で住むような場所へ移送すべき、と誰しもがお思いになるかと存じます。
 被災直後からの建設は不可能としても、半年後ぐらいから急ピッチで建設していれば、そろそろ開設の目処が立つ頃でしょう。

 ですが――生憎、政権を握っているのが民主党でした。
 其の場其の場で耳障りの良い、ですが現実性の皆無な理 想論を言い続けた方々が政府であったのが最初の不幸でした。
 福島県内 に処理施設を作れば、住民から総スカンを食うであろう事は容易に予測がつくため、恐らく唯一の解決策となる福島県内の被災瓦礫の処分手段が取れないで います。
 もしも現実的な解決方法をすれば、選挙民から嫌われるのは必至なので、彼らは其の解決方法を避けました。

 次の不幸は県内全ての議席を民主党だった事です。
 彼らが野 党であれば与党――時の政府が何とか解決してくれる筈なので、自分達は文句だけを言い続ければ良かったのでしょうが、どの選挙区を見ても居るのは自分達の 身内だけです。
 誰も何も 現実的な解決方法を取らず(取れず)、被災からの復興は他県と比べて遅れに遅れる事になっています。

 最後の不幸は日本にまともな報道機関が無かった事です。
 私――というか被災地の 現状、被災瓦礫と復興作業の因果関係や、何もしない政府を批判するメディアは何故か皆無です。
 それどころか仮説自由宅で住む方々、また苦難に果てに身罷った方をさも悲劇として大々的に報道し、反原発の旗を掲げています。

 反原発も結構ですし、被災者からインタビューを取って下さるのも良いでしょう。
 ですが、被災地の人間が最も望んでいるのは“復興”です。
 そのためには被災瓦礫受け入れの拡大を支持したり、県内処分場の必要性を訴えたり、放射線の正しい知識を伝えるのが筋ではないのでしょうか?


 県外で被災瓦礫への反対運動が起こっています。其の理由として挙げられるのは、

『放射線が悪影響を与えるのではないか?』

と政府が定めた基準値以下、しかも福島県ではなく宮城・岩手からの被災瓦礫の処分へも反対している方も居ます。
 其れ自体にどうこう言うつもりはありません、ありませんが――昨日、今日と写真を取り上げてお分かり頂けたでしょうが、被災地では人の住むごく近い地域 に、または帰還すべき地域に瓦礫が存在します。
 遠くの場所で反原発運動をされるのも結構ですが、其の原動力となっている”筈”の放射線へ対する恐怖・脅威、つまり福島県の被災地では反原発運動をされ ている方々が絶対に受け入れられないでいる被災瓦礫へ日常的に接している住民が数多く居ます。
(写真を撮りに行った私も含まれるかも知れません)

 其れで? 震災地から遙か遠い場所で反原発運動をされている皆さん、貴方方の仰る放射線の脅威とやらに私達は常に晒されている訳ですが、私達の心配はいつして頂ける のでしょうか?
 具体的には”受け入れたら即時に放射線被害が起こる”と称されている瓦礫よりも、格段に放射線が残留しているものが被災地では転がっています。
 そんな所 には人を住まわすわけにはいかない、と福島市・郡山市・いわき市合わせて100万人の衣食住を提供して下るのですよね?もしくは税金を支出するように訴え て下さると?


 今年で敗戦後67年が経とうとしています。人を殺傷する目的で核爆弾を使用された広島・長崎は、当時「70年間はペンペン草一本生えない」とまで称され ました。根拠の無 い風聞が正しかったとすれば、後三年経過しないと人の住める環境では無い”筈”ですね。
 しかし現実には 同都市に多くの方が住まい、また放射線によって白血病や遺伝的疾患が増えたというデータは報告されていません
 敗戦直後、同地域の出身者は「ピカの毒」(放射線)があるとされ、就職・婚姻等様々な場面で謂われの無い差別を受けました。
 修学旅行でそう訴える長崎の方の話を聞き、私は子供心に憤りを覚えました。其れと同時に正しい情報がきちんと伝達されない当時を嘆かわしくも思う一方、 現代であればそんな悲劇は起こらないであろうとも確信していました。

 ですが現実は……まぁ皆様の目でご覧になった事が全てかと存じます。


 私が正しいのか、其れとも各地で受け入れ反対を訴える方々が正しいのか、其れは即時に答えが出る問題ではないでしょう。
 私は原子力の専門家では御座いませんし、人生経験に於いても若輩者と言って差し支えのない人間(※奇蹄類)です。
 しかし人並みの愛国心――日本が何かの分野で良い成績を修めれば嬉しいですし、他国から正当な感謝を捧げられれば誇らしく思います。
 同程度、長年居住する所へ愛郷心を持っています(正しくは故郷ではないのですが)。

 そんな私は被災地に残り、仕事を続け、時折被災瓦礫の写真や復興半ばの写真を撮り、HPをご覧の皆様に意見を発信しております。其の根っこにあるのは愛 郷心、故郷や国、取り巻く環境が少しでも偏見から是正して欲しい、というものです。
(勿論職や友人、知人や環境と離れがたいという動機も御座いますが)

 其の生き 方は、恐らく一部の方からは「愚か」と呼ばれるのでしょうが――”データの裏付けが無く、自身可愛さに反放射能を訴え、福島県であれば値がどうであろうと 拒絶するな生き方”が賢いのでしたら、私は愚者と蔑まれる方を選びます。
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