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被災地の現実 〜福島の悲劇が日本全国へ広がる〜

 昔々、小学校の頃の体験学習に際し田んぼで稲を植えました。膝ぐらいまで泥に浸かり四苦八苦しながら(其れでも楽しく)やった記憶があります。
 其の時に気づいた事ですが、“泥の上で足踏みすればする程、両足は深く填ってしまう”んですね。ですから泥やぬかるみの中で前へ進むのは、両足をしっかりと踏みしめ、軸足でブレる事無く支える事が大切です。
 ……しかし生憎、現在の日本は深い泥の上で激しく足踏みを繰り替えしている状態です。


 私は福島県で暮らしています。震災後色々ありました。泣きっ面に某、と申しましょうか、ここぞとばかりに精神的にも経済的にも追い打ちを喰らっている状態です。

 2012年10月16日、NHKの地方ニュースで福島産新米の検査について放送されていました。内容をおおざっぱにまとめると、

 県内で作られた米の内、市場へ出荷される分は全て放射線検査がされている。
 しかし検査の人手が足りていない。何故ならばJA(農協)がやっているからだ。
 専門の職員を置いているわけではなく、農家の人間六人(つまり本職は別にある)がやっているため、とてもじゃないが終わらない。現在のままだと確実に年を越してしまう。
 しかも歳を越すと“新米”としては売れなくなってしまう。

大体こんな感じだったと思います。
 問題は幾つかあります。まずはJAの検査体制の不備、JA支店を通じて「一体幾ら検査すればいいのだろうか?」ぐらいは把握で出来るでしょうし、其れに合わせて人員を増加させなかった、という点ですね。
 まぁ……何よりも私が驚いたのは“放射線検査は民間団体へ丸投げし、国や県が一切関与していなかった”という点です。農作物全ては無理があるとしても、せめて米ぐらいは職員を出向させて監督・指導しているのかと思いきや、全て人任せだったと。

 知り合いの農家の方聞いたのですが、時折政府が「出荷“自粛”要請」を出す時があります。皆さんも聞いた事があるかも知れません。
 此は行政命令の一つではありません。ありませんが、事実上の政府による出荷生前に等しい行為です。まぁ仕方が無いとも思いますし、別に反対する気もありません。悲しいですが、当然だと思います。
 ですが“自粛”なので命令とは違います。此がどういう事か――要は「政府からの補償は一切出ない」んですね。

 ですから農家は泣く泣く出荷を取りやめ、東電の方へ話を持って行くしかないのです。しかも質が悪いかと言えば、東電は“民間”企業です。補償に問題があるのではなく、“直ぐに補償されない”の一言に尽きます。

 例えば貴方が失業しました。生活費はもとより各種ローンもあります。
 しかし大抵の方は失業保険等のセーフティネットに守られ、割と即座に救済されるでしょう。勿論迅速に次の職を探すのが前提ですが。

 ですが農家の方は“入ると思っていた収入が絶たれ(場合によっては廃棄費用も求められ)、補償されるのがいつになるか、また確実に貰えるかどうかも額も分からない”という状況へと追い込まれています。
 何と言いましょうか、こう、現与党である民主党は全ての面に於いて、其の場限りの子供騙しである、と言わざるを得ません。
 難しい話ではありません。政府が予備費なり政府短期証券なりを発行し、予算の拡充をした上で迅速に補償すれば良いのです。
 勘違いなさらないで下さい。政府負担を求めるのではなく、“早い補償をするために政府が東電に代わって立て替えておく”と。後日請求すれば良いだけの話です。

 ――と、言った具合に、私達福島に住む人間は震災・原発・民主党の三重苦に悩まされています。
 現在、11月からは予算が枯渇し、各種事業がストップしてしまうという報道が繰り返しなされています。其れは正しいです、“現与党が何も手を打たなければ”という前提に於いてですが。
 政府短期証券と言うものがあります。短くて翌月、長くて一年程度で償還される短期国債であり、非常時に発行出来ます。つまり赤字国債法案が通らずとも、同証券を発行すれば各種予算の執行は妨げられる事はありません。
 しかし民主党は国民の生活を人質にして、野党(自民・公明)へ協力を促します。そして社会の公器を自認するマスコミは、カツカレーの値段や橋の持ち方で野党党首を激しくバッシングし、責任野党を謳います。

 ……此でも未だ、貴方は彼らを信じますか?
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