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這い寄るTPP、そして伝えないマスコミ各局

 一年……あぁいや二年前でしょうかね。民主党の菅直人総理(当時)が、自身の任期が切れるのを恐れ、突然今まで一言も言及してこなかったTPP参加を言い出したのは。
 まぁ民主党らしいと言えば其の通りなんですが、突然日本国内がTPP参加・不参加の議論に沸き立ちました。
 私は『東北復興及び国内農業へ致命的なダメージを与え、国内法よりもTPP参加国の方を優先させてしまうため、反対』の立場を取っています、そもそも貿易協定を結びたいのであれば、TPPという形を取らずともFTAで充分だと。

 とは言うものの、実際に良い面も無いわけではない、という可能性もゼロでは無いかも知れない、という推測をされている方も居ます。まぁ誰が何を言おうとするのも自由ですから、其れに関しては良いと思います。
 良くも悪くも、人々の間で話題になり、闊達な議論になる事で世論が形成されていく――と、良いなぁと私は思います。

 各界やパネリスト、そしてブログやHPで様々な意見が出されています。また各種団体、主に農家や医師会等が中心となってTPP反対を掲げています。
 まぁ参加するしないはそれぞれの掲げる政党を選択すれば良い、と思いますが……此所へ来てまたTPPが上がってきました。


ASEMで首相 財政健全化取り組み説明
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121105/t10013265601000.html
 11月5日 19時24分ASEM=アジア・ヨーロッパ首脳会議は、ラオスで、日本時間の5日夕方始まり、ヨーロッパの信用不安に伴う世界経済の減速を受けて、経済・財政問題で意見が交わされています。
 野田総理大臣は、財政健全化に向けて、消費税率の引き上げを含む社会保障と税の一体改革を進めていることなどを説明しました。
  ASEM=アジア・ヨーロッパ首脳会議は、40余りの国々の首脳らが出席して、日本時間の5日夕方、始まりました。会議ではまず、ヨーロッパの信用不安に 伴って世界経済が減速していることから、経済・財政問題が議題となっています。この中で野田総理大臣は、日本が財政健全化と経済成長を同時に進め、持続的 な成長を目指す考えを示しました。
 そ のうえで、具体的には、財政健全化に向けて、消費税率の引き上げを含む社会保障と税の一体改革を進めていること、また、経済成長に向けた取り組みとして、 医療や環境などの分野で新たに100兆円を超える規模の市場を開拓するなどとした「日本再生戦略」を実行に移していることを説明しました。
 そして、国益の確保を大前提として、TPP=環太平洋パートナーシップ協定や、日中韓3か国によるFTA=自由貿易協定などを同時並行して推進させていくことを表明しました。
(引用終了)


 我が国の総理である野田総理の以上の発言を、多くの国民はご存じなかったでしょう。何故ならば“報道各社が総理の台詞を全く取り上げなかった”からです。
(この段階では、ですが。後に民主党がマニフェストにする”らしい”ので、慌てて取り上げました)
 マスコミが次にしたのは“TPP隠し”です。人権擁護法案と同じで“報道しなければ人々の議論の対象になり得ず、反対する人間も出て来ない”――と、思ったかどうかは、生憎中のではないため存じません。
 しかし“国のあり方を大きく変更する事になるTPPを、現総理が推進すると宣言(其れも国際会議の場で)したのを全く取り上げない”のは、作為的なものを感じます。

 加えて最悪な事に、現在日本と激しバッシングしている中国・韓国とのFTA等という、国内ですら全く同意の取れていない議題を、さも決定事項が如く打ち出しています。
 そして日本のマスコミは一切其処に触れません。総理がどんな発言したかすら知らないでしょう。


 さて話は少し変わりますが、私が(勝手に)氏と崇めている経済評論家・中小企業診断士の三橋貴明さんが居ます。
 氏のブログの一部を転載します。出来れば元のリンクで全文をお読み下さい。


経済界(三橋貴明、新世紀のビッグブラザー、2012-1023)
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11386502710.html#main
(前略)
 さて、マスコミの皆さん。特定の主張(TPP参加)を主張する経済界という団体(経団連、日本商工会議所、経済同友会など)が、日本の政府の政策に影響を及ぼす、すなわちTPP参加を目的として行っている彼らの「私的」な政治活動を、なぜ、
「経団連はロビー活動をしている! 政治家と癒着し、彼らの私的目的であるTPP参加を実現しようとしている!」
 と批判しないのでしょうか。
 彼らのやり方は、完全に民主主義のプロセスをすっ飛ばしていますよ。なぜ、

「経済界は民主主義の敵だ!」

 と批判しないのですか、朝日新聞さん。

  経団連などの「経済界」は、あくまで私企業の連合体であり、公的な組織ではありません。彼らの目的が「公的」であるから構わないというのであれば、農協や 医師会がロビー活動をするのも、別に問題ないということになります。経団連と農協、医師会は全て「私的事業者の連合体」です。
 経団連や経済同友会のロビー活動や政治家への「圧力」は、ごく当たり前の活動として記事にし、しかも「要望」と呼び、農協や医師会の要望は、
「農協や医師会などの既得権益が政治家と癒着して圧力をかけてっ!!!キイッ!!!」
 とやるのは、ダブルスタンダードというものでございます。

「農協や医師会は、農家や医者など一部の既得権益者の利益を代表しているだけじゃないか!」
 な どと顔を真っ赤にして怒鳴ってくる人がいそうですが、すみません、経団連にしても経済同友会にしても、加盟している私企業の利益を代表しているに過ぎませ ん。農協や医師会を「既得権益だ!」と叩くならば、経団連や経済同友会などの「経済界」についても、同じようにしなければおかしくありませんか?

 しかも、現在は資本移動の自由(例:工場の外国への移転など)が認められているため、経団連に加盟するような大企業の「権力」が強まっています。何しろ、大企業はいざとなれば外国に資本を移しても構わないわけです。
 それに対し、農 家の土地は外国に持っていけません。また、お医者さんのお客さんは基本的には日本国内の日本国民です。資本を外国に移せず、内需中心で生きていくしかない 農家や医者と、外国に資本を移せ、外需で食うことができる大企業(内需企業除く)と、果たしてどちらが「日本」のことを考えてくれるでしょうか。
(引用終了)


 私如きが要約するのも憚られるのですが、要は『農家や医師会の意見は叩いておいて、経団連の言い分は丸呑みなのか?』と言う事でしょうか。
 まぁ仕方がありませんね。所詮マスコミとはジャーナリストや権力の監視機構とふんぞり返っていても、結局は私企業であり、彼らへ餌を投げるスポンサーの意向には逆らえないのですから。


 此が、日本の、マスコミの姿です。自分達に都合の悪い事実は報道せず、利害の反する政党を無責任野党と蔑み(カレーの値段でネガティブキャンペーンを組み)、復興を置き去りにして、国益を売り払う政党を奉る……私達はそろそろ声を挙げなければいけません。

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