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子供の頃に思っていた事 〜ヒーローは居ないのか?〜

 昔々学生時代の話です。具体的な学年は、まぁお察し下さい。
 授業中、先生の話を聞き流しながら、教室のドアを見ながらこう考えていました。

「悪い奴がもし入ってきたら、どういう風に動こう?」

 まぁ今で言えば中二病と言うんでしょうか。他愛もない妄想の話です。
 今でも――例えば大事故が起きたとしましょう。しかしそんな記事を読みながら、こうも空想する事があります。

「事前に知っていれば、事故は防げたのかも知れないのに」

 ヒーロー願望なのか、只事故を避けたい思いなのか、私自身の妄想なので、どちらとも判別しがたいものがありますが、まぁ兎に角そんな事を考えたりします。
 似たような話は皆さんも考えた事があるでしょう。株の上げ下げ、明日の天気、ギャンブルの結果、“もしも未来が事前に知れたのであれば、私(俺)ならばこうするのに”という空想。


 私が若い頃の話ですが、東京大地震(うろ覚え)という話を読んだ事があります。内容は首都直下型の大震災が起き、日本政府は崩壊(というか首脳陣はアメリカへ亡命)、自衛隊や警察も役に立たず、人々は自身の力だけでサバイバルを余儀なくされる、という話です。
 題材としては在り来たりですが、当時の私は“もしも現実にそんな災害が起ったならば、きっと行政や政府は当てにならず、地獄地図が広がるだろう!”との感想を抱きました。
(詳しくは省きますが、混乱に乗じてアメリカ軍が東京を支配して核を落とす……的な話です)
 自分の身は自分で守ろう、的な何とも言えない思いを抱いた記憶があります。


 で、私はつい昨年、作品の中にあったようなシチュエーションを、奇しくも体験したわけですが――実際に、私達を守ってくれたのは、現地の日本人であり警察官であり、自衛隊の方たちでした。
 また同時に在日アメリカ軍の方も物資の支援、被災者の保護、そして震災につけ込んで日本の領空侵犯をした中国・ロシア軍へ対しての牽制となって下さいました

 そして心配されていたような大規模な暴動や犯罪行為は殆ど起きず(全く、ではありませんでしたが)、只粛々と日本各地からの災害援助物資へ、私達被災者は身の危険を殆ど感じずに列を作る事が出来ました。其の際ご支援頂いた方達には深く感謝申し上げます


 まぁ何が言いたいのかと言えば、

『いざ日本が危機に陥っても、自衛隊や警察官(含む大多数の公務員)の方は踏み止まって人々を助け、そして“常日頃から人権や平和を謳っている団体は、復旧が進んでからでないと寄りつかなかった”』

でしょうか。
 いや別に非難しているのではありません。其れは荒事や災害救助に特化している団体、または治安維持に努めている団体と、“たかが民間の何の責務も負わない団体”を比べ、後者が全く何の役にも立たないからと言って、責められる筋合いはありません。
 言ってみれば趣味で活動しているアマチュアに、プロの仕事を頼まないのと一緒です。また“素人が現場へ入り込んで玄人の邪魔をしない”ためにも、そう言った判断は正しかったのでしょう。

 勿論全てが全てとは言いません。中には現地被災者同士でボランティアをした方も居ます(というか私もその口です)。
 ですが、実際の治安維持や物資の移送、緊急のライフライン構築は、全てがプロフェッショナルの仕事であり、其処に素人がつけいる隙は存在しなかったのも、また事実です。


 さて、以上を根拠に良く言論人の方が繰り返す、一つの妄想へ対して反論をしたいと思います。

『自衛隊も在日米軍も、いざ戦争になれば逃げ出す。だから私達は戦争が起らない状態を作らないといけない』

 ちなみに此の台詞の後は、大抵「だから中国・韓国・北朝鮮とは仲良くしよう」と言う意見が付属します。
『強盗が入ってきても、警察は役に立たないから全財産を差し上げよう』的な結論です。

 ですが、其れは嘘です。
 震災で分かった事ですが、警察・自衛隊・在日アメリカ軍、彼らはどの組織一つ欠けることなく、ご自身の任務に従事されました。そして其の活躍があったからこそ、私達東北の人間は今日の平穏を得ています。
(勿論個人が脱走したり、罪を犯した事案もありました。しかし其れは個人の犯罪であり、全体の性質を現すものではありません)

 私が読んだフィクションの話、東京大震災?――だったか今一良く覚えていませんが――とは全く違った結果となりました。
 昼行灯、税金の無駄遣いと揶揄されてきた自衛隊の方々、そして事ある度にヘイトスピーチが繰り返し行われる在日アメリカ軍、彼らは震災に於いて多くの日本人の命を救いました。

 其れが、事実の、全てです。

 アメリカ政府は自国民を福島原発80km内から避難するように勧告した一方、水蒸気爆発を起こす前にアメリカ軍が第一原発の冷却を手伝うと申し出てくれました。しかし民主党の菅直人総理は其れを一蹴しました。
(あくまで可能性ですが、アメリカ軍と自衛隊のどちらかが任務に当たっていれば、爆発は押さえられていた可能性もあるでしょう。其れを菅直人という男は大した理由も無く、己の面子だけで断ったのです)


  ともあれ私が子供の頃に思っていた事――“有事の際にはみんなを守れるヒーローになる”は、現実にして下さる方々が存在しています。まぁ私は含まれていな いのが、歯痒くもあり、また同時に安堵出来るのですが。いい歳した中年が頑張った所で出来ないものは出来ないでしょうしね。
 フィクションの世界では新鮮味もありませんが、私達の住んでいる世界に於いては、災害や戦争を事前に予測するのは困難です。だから其れらへ対して予防したり、防災設備や人員を割き、訓練を積み重ねる事でしか対応出来ません。


 何か話がまとまりませんが……あぁそうそう、何が言いたかったと言えば、“フィクションの世界では良く悪役に回る、日本とアメリカの治安維持組織が何よりも復興・復旧の助けとなり、彼らを口汚く罵っている団体・個人・法人は何の役にも立たなかった”と。
 そして生憎現実は終わりません。ヒーローに救われた人間には、其の後も生きていかねばいけません。
 福島県民にとっては悪夢以外の何者でもありませんが、例えば各種の風評被害があります。「○○産の××から□□のセシウムが検出された!食べたら汚染される!-奇形児が生まれる!」と言った具合に、嘘八百、または1の事実を1億ぐらいにまで拡大して言う方達ですね。
(ネットで検索すれば、容易にそう言った類の団体が引っかかります)

 まぁ其処で不思議に思うんですね。彼らの言う“暴力装置”である軍隊や治安維持組織のお陰で、私達東北の人間は救われました。其れは誰が、何と言おうとも換える事の出来ない事実です。
 対照的に彼ら自称する所の“健全な平和活動団体”とやらが、東北の復興は一切関知せずに、科学的根拠の無い風評被害ばかりを助長させていく――と、言う構図です。

 大災害には何よりも頼りになり、多くの命を救った実績を残した団体。
 口先ばかりで危機を煽り、本当に苦しんでいる福島の人間の善意を踏みにじる団体。

 どちらがより“人道的”な人間でしょうか?
 武器を持って人を殺す訓練をしている人間、言論を使って多くの人間の意思を換えようとしている人間。私はどちらを信じるのか、と問われれば迷う事無く前者を選びます。
 何故ならば彼らの使う武器は私達日本国民を守るためのものであり、彼らが常日頃訓練を積んでくれたお陰で、多くの人間が救われたからです。

 貴方は、どうでしょうか?

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