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考察・12月解散の思惑 〜何故“今”解散総選挙なのか?〜

 ……2012年11月14日(水)、仕事から帰ってきた私は驚いたのですが、
『明後日(11/16)衆議院解散をする』
と野田総理が党首討論の場で発表したとか。夜のニュースは其の話と森光子女史の訃報で占められていました。ご冥福をお祈り致します。

 さて、今日は何故此の時期に解散へ踏み切ったのか、を愚犀なりに推測・解説したいと思った――んですが、よくよく考えれば“民主党が実際に解散するまで、本当かどうか分からない”のもまた真理であるような気がします。
 明日になってみればテキトーな(※適当ではなく)理由をつけ、解散を伸ばし伸ばしにする予感もないわけではなく。
(上司と昼食一回分賭けをしました。私はしない方で)


 まず民主党にとって“最善”のシナリオとは何を指すでしょうか?其れは恐らく議員を立候補させた全ての選挙区で当選し、比例区でも一番に立つ――のは、流石に無理でしょうから、合計が衆議院の2/3以上を占める事です。一党だけで各種審議を運営出来るので。
 しかし各種世論調査を見る分には望み薄です。というかそもそも“選挙で勝てる自信があるのであれば、解散せずに任期いっぱいする”でしょうし。

 では次善のシナリオは与党だけで過半数維持ですね。ちなみに11/15時点で既に離党者がボロボロ出て居るので、過半数を割り込んでいます。というか今更「ごめん嘘だった」は通じないでしょうから、私は一食分奢り確定です。
 しかし現時点で維持出来ていないのを、選挙後に望むのは難しい――他党との連立を視野に入れれば、可能ではあるでしょう。
 ただし相手側が“既に過半数もしくは連立済みで過半数を取っていた”のであれば、民主党と協力する意義は無くなります。

 後考えられる事も……まぁ悪くなる事はあっても、良くなる可能性は皆無の予測です。しかも彼らにとって悪い事に、其れらが実現してしまう可能性の方が高いですし。
 では“どうして今、民主党は勝つ可能性の低い選挙をしなくてはならなかったのか?”を考えてみましょう。


 正直、民主党が参議院選挙で一度やったように、選挙直前に総理を交代させ勢いだけで乗り切る、と思っていました。次回選挙は前原議員や細野議員当りを顔として起用し、ボロが出る前に解散してしまおうと。
(そして自民党など野党の政策を盗用し、差異を無くすと)

 ですが今回は違います。かといって野田総理の独走というのも考えにくい。では何故?


 民主党には様々な党出身者が居ます。自民党・社会党・民社党・社民党・新進党・自由党等々、書けばキリがないぐらいに多種多様な政党の寄せ集めです。あぁ別に“寄せ集め”という言葉自体にネガティブな意味は含まれていませんので、ご注意下さい。
 色々な出自・政党の人間が集まれば、当然のように様々な意見が集まります。保守・中道・革新と実に幅広いです。まぁ其れ自体は良いでしょう。
 ですが、“代議士として、民意を国会へ伝えるには極めて不適切”です。私達有権者は何故ならば候補者の“色”を見て投票をします。其れは政策であったり、所属している政党によって判別がつきます。

 しかし民主党は酷く“色”が曖昧でした。

 例えばの話、共産党は“善悪両方の面で”一貫して居ますね。弱者救済、企業増税、国防放棄と夢が一杯でとてもファンタジー&リリカルな内容の政策を“ずっと”言い続けてきました。其れ自体は評価に値すると思います。
 また割と地方の共産議員は、真面目に人権活動や社会保障について取り込んでいます。まぁ尤も彼らの唱えるお題目が“共産主義”と言う、“世界で何処一つ実現出来ず、大量虐殺を行った独裁者を次々と生んでいった思想”である以上、色々と困難でしょうし。

 民主党は其れがありません。具体的に“此”と言った色がありません。其れは何故でしょうか?
 答えは簡単です。“選挙目的で集まった野合集団のため、具体的な政策を唱えれば、同盟自体が崩壊してしまう”からです。更に突き詰めて言えば『反自民“だけ”で団結し、其れ以外は一切綱領も思想もバラバラな集団』でした。

 従って彼らが主張出来る精一杯の事と言えば、“反自民で非現実的な事”しかありません。具体的に○○な政策を上げてしまえば、其れは党内でもまとまりきれないため、出鱈目な(小学生の作文未満の)代物でしかなかったのです。
 最たる例としてはTPPでしょうか。まぁ思想的な物はさておき、政策的には革新派に含まれると思います。旧来の経済体制を新しい概念でどうにかしてしまう、其れも早急に、という事ですから。
(いや其れ以前の問題が山積しているんですが)

 しかしTPP参加を掲げたのは良いものの、掌から水がこぼれ落ちるように離党議員が増えています。彼らは国民の生活が一番、維新の党へと名前を変えて行きました。
 何故そんなに離党者が出るのかと言えば、先に挙げたように“民主党と言うのは政治・思想結社ではなく、只単に反自民党の人間が集まった選挙互助会”に過ぎなかったからです。そして“実際に政権を任される事が無かったため、嘘八百を並べた政策を言い続けても、誰も何の不都合も無かった”と。
 ですが“いざ自分達が政策を実現出来る立場になると、何も決められず、かといって過去に政治の場で活躍した経験も無いため、只々あたふたするのが精一杯だった”と。
 仮に某かの政策を実現してしまえば、保守革新、両方が混ざっているため、必ずどちらかの不興を買います。従って何も出来ませんでした。


 ……まぁ、我ながら書いていて可哀想になる話ですね。全く同情は出来ませんし、してもいけません。大の大人が、自分達の意思で立ち上げた集団なのですから、其れ相応の覚悟があって然るべきです。


 漸く何故解散を決意したのか、の話へ戻ります。
 まぁ結局の所、民主党は“党を存続させるため”以外の目的を持ちません。政策や思想はバラバラ、出身も市民運動家上がりや元革マル派の付き合いのある弁護士から、某大企業の創業者一家(しかも複数人)が居たりします。
 まとまりようがないですし、本人達でもどうしようも無いのです。

 で、そんな人達の至上命題は“選挙に勝つ”事です。実際に“保守革新中道、親米反米反日家が一つの集団としてまとまっていた”んですから。
 此の場合の“選挙”とは必ずしも次回の選挙を指す物ではありません。彼らは“衆参同時選挙を実行されて、自身の居場所を完全に失うのを恐れた”のが、今回の解散の裏側だと私は推測しています。

 と言うのも参議院選挙には解散がありません。一度選出されてしまえば、任期六年は変えようがないのです。
 従って、“仮に民主党が次の主議員選挙で負けたとしても、次の参議院選挙で勝利すれば、充分に国政へ影響力を保てる”んですね。割と悪夢です。

 とは言え、逆にある程度の議席を与党が持ってしまえば、民主党の暴挙は防げるのですが――タイミングが悪いのか、または良かったのかは存じませんが、此所へ来て“第三極という冗談のような野合政党”が現れ始めました。
 彼らの言っている事、個別の政策的には成程と思ったり、また賛同するのも吝かではありません。其れは民主党を筆頭にする全ての政党に関して言える事です。
(私達個人と100%政策・政治的スタンスが合致する政党は無いでしょうから、既存の物で最も合うものを選びます。我慢出来なくなれば立候補するのも良いでしょうし)

 しかし其れら第三極は“嘗ての民主党のように、政策や政治的な思想を一切抜きにして、只反与党・反自民を掲げ、選挙協力”をしようとしています。
 其のやり方は全く民主党と同じものです。“所属している政治家の政策や思想を一時保留にし、政権を取るために協力する”と。

 いえ、別に複数の人間や政党が選挙協力するのは悪い事ではないと思います。思いますが――其れだと、“今まで訴えてきた政策や思想、そして議員になった後に立案する法律で矛盾を来さないのか?”という不安が強いです。
 何というか、こう、歪ですね。本来代議士とは有権者や地方の意思を国政へ反映させるため、そして政党とは同じ・似たような思想・政策を持った集団である筈なのに、民主党や第三極の人間は只の選挙互助会とか見ていません。


 まとめ、というか結論です。

『民主党は“党として勝ちには来ていない”。来年の参議院選挙まで“仕切り直し”するために解散へ踏み切った』

 と言うのが私の意見です。所詮は、と申しましょうか、最初から民主党に所属している人間には理念というものがありません。
 ですから仮に、此所で、選挙で負けてしまったとしても、来年の参議院選挙まで参議院で他の野党と結託し、与党の足を引っ張りさえすればまた再起出来る可能性は高いのです。
 加えて旧社会党の議員がやったように、“政党が潰れても、適当な別の看板を探して潜り込み、出鱈目な政策を掲げていれば当選する”と言う実績を、民主党は作ってしまっています


 一応予言しておきますが、仮に次の選挙で自民・公明党が与党になったとしましょう。そうすれば“マスコミは壮絶なネガティブキャンペーンを再開させる”筈です。
 具体的には(私が散々言ってきたような)漢字の読み間違い、私費での交友関係、果ては顔へ絆創膏を貼っただけで、連日連夜ワイドショーで取り上げる事になるでしょう。

 そうした場合、私達は何をすべきでしょうか?唯々諾々とマスコミの言い分を聞き、したり顔で暴言を吐くコメンテーターの言う通りにすべきでしょうか?答えは、否、です。
 何も私を信じろとはいいません。ですがマスコミを信じるのだけは止めて下さい。2009年の総選挙、彼らが絶賛した党の公約――というかマニフェストは、一体何割実現しましたか?

 何に従えばいいのか、ともし貴方がお考えになるのであれば――私は“誰にも、何にも従う必要はない”と応えたく存じます。私達は自由に意思表示を出来、情報を選別できるのですから、然程難しい事ではありません。

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