header
 トップへ | 此のサイトについ | ご意見・ご要望のメール

選挙の焦点は“世襲”なのか? 〜再び始まる人格攻撃〜

 唐突ですが、此の世界に平等というものはありません。あるとすれば時間と誰でも死に至るということぐらいでしょうが、其れすら治安の良い国と悪い国、先進医療制度・技術の恩恵を受けるか受けないか、で変わってしまいます。

 例えば某途上国、というかアフリカ某地域では政府がエイズの薬を供給しています。しかし此は薬自体が高すぎるため、製薬会社に無許可でしている事です。
(国民はおろか政府ですらも買えないとか)
 ちなみにエイズという病自体に対しての研究も進み、今では多くの薬を症状に合わせて服用する事で、感染から死亡まで約40年程進行を遅らせる事が可能となりました。
(20代半ばで感染して65歳。また40年もあれば新薬も期待できますし)

 しかし世界には薬だけでなく食料すら買えずに亡くなる方も少なくない――というか、日本が異常なだけです。此が現実です。


 選挙が始まってやはり自民党へのネガティブキャンペーンが始まりました。其の名も“世襲”です。意味を知らない方はいらっしゃらないでしょうが、一応補足しておきますと、

『親が政治家であるならば、子供が其の地盤を受け継ぐのは問題ではないか?』

と、仰りたいようです。

 前にも書いた記憶があるような気がしますが、何度でも繰り返しましょう。“両親が特定の職種・社会的立場だからといって、其の子供の職業を制限するのは憲法違反”です。
 仮に――そうですね。ジャスコ、日本最大の量販店イオングループです。田舎に出店しては近くの小売業を淘汰し、シャッター街の原因の一因となっている商店です。
 始まりは老舗呉服商「岡田屋」の7代目、岡田卓也氏が興しました。此の時点で世襲ですね?
 で、現在の取締役兼代表執行役社長は岡田元也氏、創業者のご長男です。
 ちなみに次男である岡田克也氏は民主党元代表にして、現副代表。現職の民主党国会議員を務めてらっしゃいます。
 此の世襲は、許されるのですか?

 また民主党初の総理大臣である鳩山由紀夫氏は高名な政治家の孫です。加えて二代目である菅直人氏は2003年の第43回衆議院議員総選挙、2005年の第44回衆議院議員総選挙でご子息である菅源太郎氏を民主党公認の元に出馬を許しました。

 惜しくも落選されたのですが、菅源太郎氏をwikiで調べてみると、

2010年4月、株式会社第一総合研究所に就職。研究員として第一総合研究所に勤めながらNPO法人Rights代表理事として選挙権・被選挙権年齢引き下げや政治教育の充実に向けた活動を行っている。

なお、第一総合研究所とは、「民主党10年史」を発行する、民主党との関連が非常に深い民間企業であり、同社の代表取締役は、元江田五月秘書であり、民主党公認で岡山県議会議員(1987年〜1999年、三期)を勤めた橘民義である。

 政界進出に失敗すると、今度は民間の党関係職へ就任ですか。随分とまた優遇されていますね。


 ……まぁマスコミのいつものパターンです。“具体的な政策に一切触れず、抽象的でネガティブなイメージを持つよう、執拗に何回も繰り返し繰り返し報道する”手法です。


 反論意見もあろうかとは存じます。ですが、一度前回の衆議院選挙を振り返ってみましょう。
 与党側は“過去の実績”を強調しました。例えばリーマンショック後の対応や各種医療制度の充実、幾つかの年金制度の見直しなど“自分達が実現に移した政策を有権者へと訴えかけたのです。
 対して野党側(民主党だけではなく、ほぼ全部が)は“現状の否定と将来の展望図”を強調しました。マニフェストを筆頭とする各種選挙公約で多岐に渡る分野での改革を掲げ、また自民党政権が如何に酷いものであったのかを強調しました。

 一見対照的です。しかし此の構図を要約すると以下のようにも例えられます。

『与党は自分達の“決済表”を掲げ、野党は自分達の“未来図”を掲げる』

 まぁ当然野党側には政策を実現出来はしない(協力したものは兎も角)のですから、そうならざるを得ません。というか大抵はそうですしね。


 さて、あれから三年、与野党が逆転して選挙戦へと突入しました。此所で不思議な事が起きてしまいました。

『与党である民主党が未来図を掲げ、野党である自民党が決済表を掲げた』

 ……本来であるならば、“民主党は自分達の実績を誇る”立場でいなければいけません。
 だというのに彼らが口から出て来るのはTPP、そして自民党の世襲批判です。
(自分達も少なからず世襲議員がおり、党の要職を占めているというのに、です)

 まぁはっきり言ってしまえば、“民主党には其れ以外に訴えられる言葉が無い”という事ですね。三年前であればマニフェストと言う未来予想図を掲げ、出来もしない事を出鱈目に並べていれば良かったのですが、いざ政権を盗った後には散々です。

  まず政策の殆どは自民党を踏襲し、しかも相当劣化させた代物でした。例えば各種エコポイント政策を継承し、児童手当を劣悪(配偶者控除を含めると、児童の 居る家庭ですら所得は減る)な子供手当へと変え、赤字国債を一切発行しないと言った其の歳に、過去最大額を記録しました。
(震災前ですらそうだったのです)
 しかも外交では同盟国の関係を悪化させ、中国・韓国・北朝鮮には一方的に虚仮にされ、沖縄県民から多大な怒りを買いました。
 唯一出来たのはJALの再興。しかし其れにしても平成のリクルート事件へ発展する汚職の可能性すらあります。

 そう言ったわけで、民主党は自身の“成果”を誇る事は出来ません。何一つ、どれ一つとして満足に成果が出た項目が存在しないのですから。
 ですから“三年前と同じように、対立する党の人格や品位を貶める事しか出来ない”のです。


 冒頭にした“平等”とは一体何でしょうね?よく語られる――いえ、よく“騙”られる方は過去、現在、そして未来に於いても多くいらっしゃるでしょう。
 しかし実に皮肉な話ですが、『過去一度足りとて実現した事のない概念』であるのを忘れていけません。目指すな、と言っているのではなく、程々にしておくのが宜しいかと。

 そもそも世襲が“贔屓”であれば資産家や地元の名士が出馬するのも“狡い”のでしょうか?ではサラリーマン限定にしましょうか?其れともブルーカラー以外は投票出来ないようにするとか?
 そうしてくると日本国の政治家を日本人だけが務めるのも問題になりますね?世界人口に応じて配分しますか?其れが平等でしょうか?

inserted by FC2 system