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新聞・テレビの凋落 〜外国の新聞に劣る日本マスコミ達〜

 私達は多くの情報をマスコミから得なければいけません。以前の記事でありましたが、地方紙は共同通信から全国区の情報を配信(購入)しているように、私達が単独で日々起るニュースを取材・分析するのは困難だからです。
 正当な対価――購読料なり広告を見せられ、宣伝を受けて――を支払っている以上、当然の権利であるとも言えますが。

 其の国の内実を見るには、やはり其の国で活動しているマスコミに頼るのが最適であるとも考えます。例えは其れが中国のような独裁国家であっても、香港当りではある程度“指導部批判”の記事を見る事が出来るからです。
(尤も対立する指導者がやらせている可能性が高いですし、チベットやウイグル独立には微塵も触れませんが)

 まぁアメリカの新聞にはアメリカの出来事が最も書かれているのは、購読層がアメリカ人であるためだから、と言う当然の話なのですが。


 民主党政権が始まって3年3ヶ月が過ぎ、今は解散総選挙へと至っています。マニフェストは碌に守られず、消費税増税にTPP参加、中国・韓国とのFTA等、言った事は守られず、言わない事は実現しようとする、と言う最低の政権交代になってしまいました。
 其れはあくまでも私の感想の域を出ませんが、実際に「マニフェストで何か実現したか?」と問われれば、高校無償化ぐらいしか無いのもまた実情です。

 漸く此所へ来てマスコミ各社がほんの僅かばかり彼らのマニフェストが実現出来ない、夢想の産物だと言い始めました。漸く、と言うよりも遅きに失する、の方が適切でしょうが。
 少なくとも前回の衆議院選挙で、麻生元総理を始めとする自民党議員は嘘だと言っていました。CMを作って流してもいました。

 しかし日本のマスコミは『自民党のネガティブキャンペーンだ!』と、まるで自民党の方が嘘吐きであるかのように報道していました。
 まぁ今になってみれば、どちらが嘘吐きだったのかは分かるかと存じますが。

 さて、私達日本人の多くは、日本のニュースや出来事(政治経済国際関係等々)を知るのに、日本のマスコミの報道を頼りにしなくてはなりません。市井の人間だけでなく、国会議員や公務員までそうでしょう。
 何故ならば日本のニュースは日本の新聞・テレビが最も研究し、批評しているのだから――と、言うのは“嘘”です。
 政権交代の前に、外国の新聞(其れも大手)が民主党のマニフェスト(と言うか政策)は破綻していると指摘していました。


DPJ Disappointment:The opposition party has no new economic ideas. JULY 29, 2009, 2:26 P.M. ET
日本の民主党には失望する:経済政策になんら新しさが無い (WSJアジア版社説、29日)(部分抜粋)
http://online.wsj.com/article/SB10001424052970203609204574317652193781002.html

It’s more likely that a DPJ-led government would have to issue debt or raise taxes to fund their promises? something party officials have not ruled out. Either one would be a big drag on Japan, which already has one of the world’s highest public debt burdens, at around 175% of GDP and heading higher, as well as some of most punitive taxes in the developed world. This year it is one of Asia’s worst-performing economies.
民主党がその掲げる政策を実現するためには、赤字国債を発行するか増税する以外になさそうである。そのいずれも、日本経済を激しく悪化させる。日本はGDPの175%の負債があり、日本の税率は先進国で最も高い部類に属している。今年の日本経済は、アジアの中では最悪のパーフォーマンスを示している。

If anything, the DPJ would make Japan's labor market more rigid by effectively banning the employment of temporary workers in manufacturing and by raising the average minimum wage. The platform also calls for rolling back former prime minister Junichiro Koizumi's postal reform, which would have shed a huge bureaucracy from the government's books and given Japanese savers more choice if carried through.
民主党の労働政策は製造業の一時的雇用の労働者を実質的に禁止し、最低賃金を上げることで規制を強める。小泉政権の郵政改革を後戻りさせ、その削減した大幅な事務官僚機構を再度政府の下におこうとする。
If the DPJ wins, however, and does what it says, its tenure may not last for long.
民主党が勝利して、マニフェストにあるとおりを実施しても、政権は長くは持たないだろう。


<FTの社説から、民主党の経済政策>(2009/08/18)
Yet much of the DPJ’s economic programme remains sketchy, improbable or downright unrealistic.
日本の民主党の経済政策は詳細を欠いており、ありそうにない事や、全くリアリスティックでは無い項目が有る。
http://www.ft.com/cms/s/0/d7b18e78-8b59-11de-9f50-00144feabdc0.html
The money it is promising to shower on low-income families, parents, farmers (and anyone else who might vote for it) is meant to come from pruning waste. But, with election pledges costing around 3.5 percent of GDP, that is fantasy.
民主党が低所得者層や子持ちの家族や農家にバラ撒きを約束している予算は、無駄の切り詰めによって調達するという。しかしその総額はGDPの3.5%で、そういうことはファンタジーというべきである。

The DPJ is partly doing what opposition parties are supposed to do ? promising the earth in order to get elected.
野党の民主党は政権獲得の為に、出来そうにも無い(promising the earth)公約をしているとはいえ、

But if it really is headed for victory, it will need to work quickly to persuade Japan’s public ? and the markets ? that its sums add up. If not, it risks an electoral backlash in upper house elections next year. Almost as bad, bond markets could wobble.
しかしながら、民主党が勝利するのであれば、民主党は国民を説得し、納得させて、そして市場を納得させて、予算の帳尻を合わせ(add up)なくてはならない。もしそうしないならば(大幅な赤字財政によって)来年の参議院選挙にバックラッシュがおきるであろう。そうして、拙い事にも国債市場はグダグダになるであろう。
(引用終了。極東ニュース板の外電さん、いつも記事投下と翻訳有り難う御座います)


 特にFTの方はほぼ的中しています。農家の個別補償制度と子供手当は額が多すぎて予算の切り詰めでは実現せず(赤字国債を発行して賄い)、参議院選挙で報いを受ける、と。
(そう言えば日本のマスコミは参議院選挙でも「民主党大勝!」とか言っていましたね)

 思い出して下さい。日本のマスコミで何処か一社でも、一行でも、『民主党のマニフェストは出来そうにない』と言った所はありましたか?
 日本のマスコミは日本国内の出来事、其れも国家を左右しかねない程の指針である、民主党マニフェストを絶賛しました。つまり“日本国民の未来を分かちかねない事件ですら、碌に分析・発信する事が出来ない”のです。テレビのコメンテーターや自称知識人、また経済学者の方も同罪です。

 ……まぁ無此が意図的なものかどうか、は分かりません。仮に某かの利益供与が行われていたとして、愚犀が知るのは有り得ないでしょうから。
(産業スパイでもあるまいし)
 ですが消費税増税を政権交代後に散々煽った挙げ句、新聞“だけ”には適応外と求め、テレビ局や通信会社の法人税・固定資産税減免要望を出した事実がある限り、政府とマスコミの談合と誹りを受けても仕方がないと思いますが。

他人を騙すのが賢い生き方ならば、愚鈍と蔑まれる方が良い 〜消費税密約〜

 またユニクロやアウディの件でもそうでしたが、“スポンサーの都合の悪い事実は取り上げない”彼らを信じるのは、文字通り自殺行為だと愚考致します。
 ……まぁ貴方がどうしても信じたい、と言うのであれば、日本のマスコミも此からも信じ続けるのは勝手です。勝手ですが――本来、マスコミの役割は情報を“知らせる”ものであり、“信じる”のは宗教の分野ではないでしょうか。

 結局、誰が何と言おうとも、“民主党のマニフェストが実現不可能な大嘘だと指摘したのは、海外の新聞であり、日本のマスコミは検証も碌にせず大絶賛していた”と言う事実は変わりません
 加えて言うのであれば“情報分析すらまともに出来ない人間達が、今度は世襲だ、第三極だと懲りもせず大はしゃぎしている”のも、でしょうか。
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