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芸能人とヤラセの現実 〜ステルスマーケットと報道の関係〜

 以前、大分前にも触れましたが、“ステルスマーケット(ステマ)”と言う宣伝方法があります。消費者に其れと知られぬように宣伝し、購買意欲を高める方法です。
 例えばとある芸能人やブロガーの方が、
『○○という商品を使っています!とても素敵な商品です!』
と書いたとしましょう。ファンの方は少なからず興味を抱き、ネットで検索するなり、同じ製品を買うなり、まぁそこまでは良いでしょう。

 ですが、“其の発信者が、其の商品の宣伝するために金銭等と引き替えに頼まれている”(ヤラセ)――と、言うのが最も分かり易いステマだと思います。
 貴方も覚えはありませんか?不自然に某国の料理や文化がねじ込まれてたり、日本を貶して特定人種を大賛辞する気持ち悪い報道とか、目にする機会はあるかと思います。
 例えば番組内で特定の商品名や会社名を連呼したり、先日知ったのですが、二ヶ月程前某アニメ(原作が小説)で「オリジナルがお粥であるのに、何故かサムゲタンに変わっていた」という、訳の分からないものまで幅広いです。

この間、とあるオークションサイトが摘発されました。


ペニーオークション会員10万人 ほぼ架空(2012年12月8日 読売新聞)
http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20121208-OYO1T00322.htm
 入札ごとに手数料がかかるインターネットのペニーオークションを悪用した詐欺事件で、オークションサイトの登録会員約10万人のうち、入札時に手数料として使う専用コイン(1枚70円)の購入者は約4000人で、残りは架空とみられることがわかった。
 サイトは、運営側がコンピューターのプログラムで自動入札を繰り返し、正規の参加者の落札を妨害する仕組みで、京都、大阪両府警は、多数の架空会員を介在させることで競売が正規なものと偽装していたとみている。
 両府警は7日、大阪市のネット関連会社社長・鈴木隆介容疑者(30)を詐欺容疑で再逮捕し、逮捕者は計4人になった。調べに対し、鈴木容疑者は「今は何を話してよいかわからない」と話し、社員ら男3人は容疑を認めているという。
  捜査関係者によると、鈴木容疑者らが運営するサイト「ワールドオークション」に仕組まれた、「ボット」と呼ばれる入札の自動実行プログラムは会員登録も自 動的に行うよう設定され、会員約10万人の大半が架空だったことが判明。ボットには事前に、最高1000万円まで入札を繰り返すよう設定され、架空会員に はユーザー名も付けられていた。
 一方、正規の参加者が支払った手数料は2010年6月のサイト開設以降、計約6000万円に上っていたという。
(引用終了)


 ペニーオークションというネットオークション会社では、会員ならば誰でもネットオークションに参加出来ます。ネットオークションというのは、通常のオークションにネットを介して参加する制度です。
(要は落札金額が最も高かった人間が、其の商品を購入出来る、と)

 此の会社の場合、“落札手数料”として専用コインを必要としていました。其れを一枚75円で会員へ買わせ、彼らが入札する度にコインを支払わせていました。
(原価数万円の商品が数千円で買えるのであれば、手数料を惜しまない方も居るでしょうし)

 ですが“実際にはオークションなど行われず(当然商品も最初から存在せず)、会社側が雇った人間(の、造ったプログラム)がヤラセ入札を繰り返し、一般会員が落札も出来なかった”と言うのが発覚しました。
 つまり運営側には手数料としてのコイン代が労せず手に入る……まぁ詐欺ですね、はっきり言わなくても。


 さて、ペニーオークションの詐欺事件では運営側が逮捕されています。実際に詐欺にあったとされている会員数は約4000人。かなり多いとは思います。
 しかし不思議に思いませんか?どうして4000人もの方が、こんな胡散臭いオークション詐欺に引っかかってしまったのか、と。
 普通であれば原価割れしている商品に対し、存在の有無を疑うのが当然――が、ペニーオークション詐欺の片棒を担いでいたのは、芸能人によるステルスマーケットだったんです。


ほしのあき(35)がペニーオークションの商品を安く落札したとブログで紹介→運営者詐欺で逮捕→ほしのあき「落札はうそ、知人から30万円もらってブログに載せた」
http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20121212-OYO1T00253.htm
 インターネットのペニーオークションサイトの運営者らが商品を落札できない仕組みにして、参加者から入札手数料を詐取したとされる事件で、バラエティー番組などに出演する人気女性タレント(35)が自身のブログに、このサイトで商品を落札したと紹介していたことがわかった。
 タレント側は京都、大阪両府警に対し「落札はうそで、知人から30万円をもらってブログに載せた」と説明。
 問題のサイトは「ワールドオークション」。運営していた大阪市のネット関連会社社長・鈴木隆介容疑者(30)ら4人が詐欺容疑で両府警に逮捕されている。
  捜査関係者らによると、タレントが紹介していたのは2010年12月27日のブログ。「オークションでゲット」とのタイトルで、商品に顔を寄せてほほ笑む 写真を載せ、「空気清浄機が欲しかったので、お友達から教えてもらったワールドオークションってサイトでお買いものしてみたよ」と記していた。
 このため、両府警がタレントの所属事務所を通じ、タレントに落札の経緯などについて事情を聞いた結果、「知人から『サイトの運営者から30万円をもらえる。アルバイトをしないか』と誘われた。サイトは利用していない」と話した。商品は知人を通じて届けられ、ブログの文章も知人に指定された趣旨の内容を書き込んだという。
(引用終了)


 そして芋づる式に芸能人の詐欺が発覚していきます。


http://www.nikkansports.com/entertainment/news/f-et-tp0-20121214-1059449.html
 タレントほしのあき(35)が13日、約2年前に自分のブログにペニーオークションで落札していない商品を落札したとうその記述をした件についてブログで謝罪した。タレント熊田曜子(30)も同時期に、うその落札をブログに掲載していたことを認めた。
 2人ともタレント松金ようこ(30)から依頼されたと説明している。さらにこの日、ピース綾部祐二(35)も昨年1月に友人から頼まれ、うその落札をブログに書き込んでいたことを認めた。謝礼も受け取ったという。

http://www.nikkansports.com/entertainment/news/p-et-tp0-20121214-1059478.html
 さらに、やはり同時期にペニーオークションのサイトと思われる「ギャルオークション」でアロマ加湿器を225円で落札したとブログに掲載しているタレント小森純(27)がこの日、都内で行われたイベントに出席した。当初予定されていた囲み取材をキャンセルし、写真撮影時に取材陣からネットオークションについて聞かれたが、無言のまま会場を後にした。


http://jisin.jp/news/2567/5320/
 入札のたびに手数料がかかるペニーオークションサイト「ワールドオークション」の手数料詐欺事件を受け、多くの芸能人が落札していない商品を落札したかのようにブログに書き込み、現金を受け取っていたことを謝罪する事態に発展している。
 そんな中、本誌は1枚のリストを入手した。広告代理店が、今年上半期のブログ広告におけるタレントの価値を「定価」として順位化したものだ。定価はブログ 1回分で、最近は価格から20%程度値引き販売されることが多いという。さらに代理店の手数料を引かれると、本人サイドに渡るのは半額程度とみられる。リストを作成した関係者は言う。
  リストには300万円を越えるタレントが8人いた。トップは350万円で2人。ママタレント系のY・Oは仕事で出会った関係者と結婚し、今年出産した元グ ラビアアイドル。ブログでは育児の話題や手料理の写真を載せ、主婦や同世代の女性たちから絶大な人気を誇る。もう1人はやはりママタレント系のN・T。ア イドルグループ出身でプロデュース商品の売れ行きも好調。現在、妊娠中だ。
 2 位は300万円で5人が該当。A・Hはモデル出身のタレントで、現在2児の母。’08年に結婚した夫はスポーツ選手だ。U・Kは’11年に女児を出産した モデル出身のセレブタレント。デザイナーとしても活躍、NYコレクションデビューしている。そして、トップアスリートとの結婚&離婚が話題となり、2人の 男児を子育て中のタレントS。天然キャラと独特の語り口調がバラエティ番組でも人気の赤文字系モデルのR。元格闘家で、格闘家の夫と家族揃ってバラエティ 番組で活躍中のA・H。遅咲きのグラドルとしてブレイクしたA・Hと並ぶ。
(以下略引用終了)


 まぁ“芸能人の良識や道徳は此の程度”です。一事が万事、と言うのは愚かであると私は思います。ですが、実際に高名な芸能人が詐欺行為に荷担するようなステルスマーケットを行っていた、と言うのもまた、現実です。

 其れで?3500円のカツカレーを食べた野党党首を責め立てていたマスコミは、数十万円(記事によっては其の十倍)の賄賂と引き替えにステマを行っていた芸能人へ対し、一体どんな追求をしたのでしょうか?
 殆どのテレビも新聞も黙りですよね。芸能界と密接に関わるテレビ局や其の親会社である新聞も、所詮は一営利企業にしか過ぎません。大なり小なり自社・自局・スポンサーの言いなりであって、其処に正義や公平という概念等は欠損しています

 此が、日本のマスコミの姿です。


 ゲーテの一説、最終盤で悪魔が栄誉を求める主人へ対し、こう呟く場面があります。

『どんなに煌びやかな栄華であっても、最後はまた虚無へと戻ってしまう。ならば私は最初から虚ろであり続けたい』

 さて、日本のマスコミは、最初はステマをやっていなかったのでしょうか?其れともステマという言葉が使われる以前から繰り返されていたのでしょうか?
 中々に興味深い議題ですが、生憎答えが出るとも思えませんしね。そして恐らく私の期待を裏切らない事もまた、想像がつきますが。

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