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宗教勧誘のセオリー 〜宗教だと知られていないカルト〜

 今日は『よくある手段』をお教えしましょう。


 すいません、ちょっと宜しいでしょうか?私は○○なんですが。あぁご存じですか?良かった。
 ――で、ですね。先程から気になっていたんですけども、もしかして貴方、何か一人で抱えてはいないでしょうか?例えば何か現状に不満があって、其れに対して悩んでいる、なんて事は……?
 ……やはりそうでしたか。初対面の方に失礼だとは思いましたが、訊ねて正解でした。
 そうですよね、確かに貴方が其れに対して某かの思いがあり、心苦しく、しかも気に病んでいるのはある意味仕方がないのでしょう。其れは理解出来ます。
 でもだからと言ってですね、今のまま甘んじているのも其れは其れで宜しくはないかと。
 目の前で子供が事故に遭いそうになっているのであれば、誰だって助けるでしょう。其れは当然です。大抵の方はそうであるでしょう。其れこそ善人や悪人問わず、ですね。
 けれども其れが遠い国の、顔も知らない子供となると殆どの場合で興味を失います。其れが如何に残酷で身勝手なのか、私達はきちんと考えるべきですね。
 ですから貴方が悩んでいる事柄、其れだって無関係ではありません。現に貴方が悩んでいるというのに、誰しもが見て見ぬ振りをしたでしょう?ですが私達は貴方と一緒に考え、助け合う事が出来ます。
 ですから一度じっくり当団体までお越し頂いて、じっくり話を聞いて頂ければ。えぇはい、一度お電話頂いて。はいではまた。


 ――と言った具合に、“詭弁・意見誘導・論旨のすり替えのオンパレード”ですね。宗教団体やら日本で革命ゴッコがしたい人達とか、頻繁に使われる類のフレーズですね。ちなみに彼らの”本部”とやらへノコノコついていけば、複数人から徹底的に自己否定された後持ち上げられます。
 まず其の手の(新旧問わず)で信者やシンパを集めるために使用されています。こう言った勧誘方法には幾つか特徴があります。
 相手の弱みにつけいるのは基本ですし、また詭弁、何の関係もない事例をさも一連の出来事であるように騙ります。勧誘者本人が信じているかどうかはさておくとしても、です。

 其の中で最も醜悪且つ愚かしい手法として、“不安を誘って依存させる”ですね。やれ生活が苦しい、人間関係が大変、子供の素行がどうこうと苦しいでいる所に、

「私は貴方の理解者ですよ。私達と一緒に活動すれば悩み“は”解決しますよ。だから一緒に行きましょう?」

と囁く連中ですね。いや別に悪いとは言いませんし、古今東西の宗教が似たような感じであったのも否定はしません。

 本来信仰とは“信じる事により心の安寧を得る”と言う側面を持っています。例えば浄土信仰は最たるもので、現世が苦しくともきちんと信仰を続け、品行方正に生きれば浄土へ行けると言う考えです。
  逆のパターンで言えば輪廻転生も当て嵌まるでしょうか。実は人間には魂があり、肉体は死んでも転生、生まれ変わっていると言う教義です。仏教は宗派によっ て魂の存在を否定していたり、そもそも悟りを開けば転生せずに成仏(輪廻の輪を外れて仏になる)ので、転生自体は修行であるとの見方もあります。
(※私は無神論者なので、どちらも実際に存在しているとは考えていませんが)
  まぁ何せよそう言った宗教を危険だと否定しているのではありません。何故ならば基本的に宗教側の教義では、『現世での行いは来世で反映されるから、真っ当 に生きていきましょう』と言う一文が(大抵)加わります。穿った見方をすれば、宗教や信仰自体が世間に受け入れられるためであるとも言えます。

 宗教であっても悪質な物は少なからず存在します。家の方位がどうこう、親の因果がどうこう、果てには水子が憑いています、等と吹聴して小銭を巻き上げたりする所は少なくありません。
 元々日本では“七つ子さま”と言う風習があり、子供が七歳になるまでに死んだとしても、弔う事はなかったそうです。
 幼児が成年になるまで生き続ける可能性は低かったのです。理由は栄養状態や医療機関の有無、また病気へ対する治療体制もありませんでしたし。
 だから命がしっかりする七歳になるまで、この子は神様であり私達は預かっているだけなのだ、と。
(尤も幼児が死にやすかったのは日本だけでなく、海外でも同じでした)


 さて、前置きが長くなりました。私は貴方へ問いたいと思います。

『貴方の周囲に不安を煽って、自分達へ依存させようとする個人・団体に心当たりはありませんか?』

 まぁ何ですね。幾つでも、幾らでも心当たりがあるかとは存じます。
 しかも最近は質の悪い事に“宗教の形を取らない宗教”と言うものへと変質してしまいました。

 彼らの特異な点は『自身が既存の宗教と大差ないのに、さも現実の一部であるかのような体裁を取っている』所です。
 しかしそう言った人々の不安や恐怖、未知の物や専門知識でない所の事実や嘘を煽るだけ煽っておきながら、私達へ向かってこう囁くんですね。

「不安だろう?助かりたいだろう?だったら――俺の言う事を聞け!俺の意思に賛同しろ!そうすればきっと望む未来がやってくる!」

 ……まぁ一番分かり易い例として挙げるのであれば、ノストラダムスの大予言ですか?お若い方はご存じないと思いますが、「前世紀末に世界は滅びる」と予言された方です。
 予言は物の見事に外れましたが、まぁ其の前後非常に多かったですね。一言で言えば“終末商法”でしょうか。
 「終末が来る来る!世界は終わりだどうしよう!でも私の言う通りにすれば助かるかも!」と言った感じでしょうか。
(ただしノストラダムスの予言や、現在もある終末商法は娯楽と割り切っている感がしますが)

 まぁ其れがある程度神がかっていたり、荒唐無稽であれば其れもまた良いでしょう。其れでも被害に遭われる方はいるでしょうが、流石に全てを制限するわけにはいきませんし。

 問題なのは先に言ったような“宗教の体を取らない宗教”です。

 例えば……そうですね、「日本は国民当り1000万円の借金を抱えているから破滅する!」だの、「福島県は放射線に汚染されている死の土地だ!」とか、「政府は埋蔵金を隠している!」等々、実に多種多様な“宗教”ですね。
 実際には「日本国民が政府へ貸している、一人当たり1000万円の“資産”」ですし、「放射線で亡くなった人間は皆無」である上、「埋蔵金など無かった」と言うのが現実です。

 まぁ私がアレコレ言った所で、信じる信じないの判断を下すのは貴方次第です。ですが、と思う事があります。

 何度も何度も日本は破滅すると言い続けてきた経済学者が居ました。曰く、円高になれば「日本は円高で破綻する!」、円安になれば「日本は円安で破綻する!」と。
 其れで、実際に破綻しましたか?

 原発で福島はもう終わりだ、と言った方も居ます。其れで?兵器として放射線を拡散された広島や長崎、はたまた60年代から中国は幾度となく核実験をし、日本には放射線の高い地域や土壌が存在します。
 其れらの結果はどうなりましたか?

 国民一人当り借金○○○万円、日本経済は終わりです。政権交代をすれば全ては上手く行きます――まぁ、此に関しては説明する必要はないでしょうか。


 私が言いたいのは「安易な解決方法に逃げるな」です。

 まぁ現状がアレコレと不安を煽るのはある意味仕方がないとは思います。私のHPであっても(幾ら根拠や情報源を明示してあるとは言え)、結局受け取る方によっては「不安を煽っている」と感じる方も居るでしょうし。
 しかし“現状分析と物事の一面だけを見せつける”のは別の話です。発信者に、はっきり言ってしまえばマスコミや彼らの御用学者が、彼らに都合の良いデータ“だけ”を提示し、批判という名のアジテートを繰り返しています。
(同盟国のオスプレイが飛んだら止めさせるように煽り、相手が日本へミサイルの標準を合わせている国が領空侵犯すれば、大人の対応をしよう、と。何処の国の代弁者でしょうね?)

 お子さんの体が病弱であった、としましょう。
 であれば其れは然るべき免疫療法なり、漢方薬や適度な運動を取る事によって改善させるべき問題です。場合によっては臓器移植や環境改善(喘息持ちであれば空気の良い所へ引っ越すなどして)で、随分と緩和されるでしょう。

 決して神様や仏様、自称○○生まれ変わり様に頼った所で、何一つどれ一つ改善されはしないでしょう。いや、信じた方も心は救われるかも知れませんが、お子さんの体は好転する訳がありません。
 仮にしたとしても其れは信仰のせいではありません。そもそも信仰さえ厚ければ助かるのであれば、世界に難民や貧困が蔓延るのもおかしな話です。
(莫迦にしているのではなく、其れが私達の住んでいる世界だ、というお話です)


 苦しかろうが、道が長かろうか、結局私達は一歩一歩進んでいく以外の手段を持ちません。奇抜で実現性に乏しい手段や目的に耳を貸すな、とは言いませんが、安易に信じ、依存してしまうのは誤りです。
 何故ならば「主義主張とは生きるための指針であり、宗教のように“いつか叶うと信じる”ものではない」からです。
 勿論いつか叶うかも知れない夢へ向かって努力するのは、非常に結構な事だとは思います。しかし当たる“だろう”と宝くじを当てにし、高級車を買う方は極めて少数でしょう。


 もしも貴方が不安になった時、誰かに甘い言葉を囁かれて負けそうになったら……そうですね、一度学業なりお仕事のお休みを取って、東北三県の被災地へいらして下さい。
 其処には自分達の足で立ち、遠い道を一歩ずつ歩いている私達被災者の姿があると思います。

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