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放射線の恐怖を煽る怪物たちへ 〜新潟県の泉田裕彦知事の暴言〜

 H=P=ラブクラフト氏の著作の一つに“怪物”(タイトルは忘れましたがそんな感じだったと思います)と言う短編小説があります。
 内容は記憶のない男がある時目を覚まし、他の人間へ事情を聞くべく探し回るが、彼らは「怪物だ!」と叫んで逃げ回るだけ。
 男は怪物が居るのか、と不安になりながら探索を続けるも、ふと鏡に映る自身の姿を見て悲鳴を上げる――と言ったお話しです。
 オチまで解説してしまうのもどうかと思いますが、実は男自身が“怪物”であり、其れを知らずに人間達へ訊ねて回っていました。当然彼を見た人間達は逃げ惑う訳ですね。

 今日の話も“自分が怪物になってしまった事を知らず、怪物だと騒ぎ立てる”お話しです。


 先日、新潟県の泉田裕彦知事(三期目)が被災瓦礫の受け入れについて、こう言う発言をしました。


東日本大震災:がれき埋め立て、知事「殺人に近い」 柏崎、三条市は作業継続 /新潟
(2月15日朝刊)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130215-00000119-mailo-l15
 東日本大震災で発生したがれき(木くず)の本格受け入れと埋め立てを柏崎、三条両市が始めたことに対し、泉田裕彦知事は14日の定例記者会見で「健康被害を受ける人が出ると傷害。それによって亡くなれば傷害致死と言いたいが、分かっていてやったら殺人に近い」と強い表現で批判した。
 これに対し会田洋・柏崎市長は「感想はありません。粛々と(がれき受け入れによる)被災者支援を進めます」。三条市は「市長が海外出張中でコメントできない」とした。
 両市は共に12日に本格受け入れを開始。柏崎市は13日、三条市では14日から、最終処分場で焼却灰の埋め立て作業を始めた。泉田知事は12日に「焼却灰をずさんな管理で埋却を進めることは将来の世代への犯罪行為と言わざるを得ない」と批判する文書を公表した。14日は記者から文書の「犯罪行為」について説明を求められた。
 柏崎市と三条市はそれぞれ、年間約2万4000トン、4万5000トンのごみを焼却処分している。これら日常ごみの焼却灰も、放射性セシウムを含んでおり、濃度は1キロあたり約20〜80ベクレルだ。
 これに対し両市が受け入れる震災がれきはそれぞれ計約110トンと145トンで、年間焼却量の数百分の1。昨年の試験焼却で測定された灰1キロあたりの放射性セシウム濃度は、約34ベクレルと24ベクレルで、日常ごみの灰と同程度だった。
 両市はこうしたデータから「がれきの焼却灰は放射性廃棄物でなく一般廃棄物だと認識している」という。
 県の担当課職員は知事発言について「こちらとしては言うべき言葉がない。担当課レベルではなく知事のお考えだと思う」と困惑を示した。
【宮地佳那子、高木昭午】

◇長岡市、がれき19.5トンの荷降ろし 周囲の線量基準値内
 一方、東日本大震災で発生した岩手県大槌町のがれき(木くず)を18日から本焼却することを表明した長岡市は14日、同市の焼却施設「栃尾クリーンセンター」で震災がれきの荷降ろし作業をした。
 がれきは新潟市が住民の抗議行動で受け入れを断念した約19・5トン。前日までに新潟市から施設敷地内への搬入は済んでいるため、この日は大型土のう袋に小分けされたがれきを、業者がフォークリフトを使ってトラックから降ろし、施設の建屋に保管した。
 地元反対住民の姿はなく、予定通り作業は終了。周囲の空間放射線量は1時間当たり0・05〜0・06マイクロシーベルトで、国の基準値内だった。市の担当者は「線量も試験焼却と同程度で問題はなく、本焼却の準備は整った。安全性を理解してもらうために、今後も情報公開をしていきたい」と話した。【湯浅聖一】
(引用終了)


 新潟県の泉田裕彦知事にとっては『震災瓦礫を受け入れるのは殺人!』ですか。随分とまぁ飛ばしたというか、終わった思考の方ですね。
 そもそも記事中にあるように、柏崎市と三条市で受け入れて下さった瓦礫と、日常ごみとの値は同程度――つまり、数字的には何ら問題ない事を示しています。
 だと言うのに“殺人”ですか?通常業務の線量とほぼ同じか、誤差程度のレベルだと言うのにですよ?
 低線量でも危ないというのであれば、日常業務ですら出来ない事になるのですが、一体泉田裕彦知事は何を根拠にして異常な“殺人”発言をされたのでしょうか?

 同事件の続報としてまた辛い記事が上がってきます。


知事、怒り爆発「殺人に近い」…震災がれき焼却(2013-0214)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130214-OYT1T01391.htm?from=tw
 新潟県柏崎市と三条市で始まった震災がれきの本格焼却について、泉田裕彦知事は14日の記者会見で、「亡くなる方が出れば傷害致死と言いたいが(放射能の危険性を)分かっていて(埋却を)やったら殺人に近い」と述べ、両市の対応を改めて厳しく批判した。
 12日にも両市の対応を「犯罪行為」とやゆした知事。この日の記者会見では、「未来に対して責任を持てるのか」と怒りを爆発させた。
 三条市の国定勇人市長が知事の姿勢を「独裁」と批判している点については、「意見を言うなというのか。言論封殺をしろというのか。住民の声を聞かずにどんどん(埋却を)進めることを独裁と言うのではないか」と反論。
さらに「国定氏は将来は(新潟に)住まないと考えているのですかね」などと名指しで非難した。
(引用終了)


 ……えぇまぁ、泉田裕彦知事が何も理解されていない、と言う事だけは理解出来ました。
 放射線量に関する無知は元より、「俺の考えを受け入れられない奴は独裁者!」と言う差別的な思考に基づき、為政をされている方だと言う事なのでしょうね。


 泉田裕彦知事、貴方は一度鏡を見た方が宜しいかと存じます。貴方が「放射脳怖い!被災瓦礫を受け入れるのは殺人だ!怪物を受け入れるな!」と、“何の科学的根拠や証拠も無しに、公的な立場にいながら個人の感想を垂れ流す、貴方こそが怪物”ですよ?

 以前引用した記事ですが。


放射線の恐怖を煽る怪物たちに、責任を問うべき時に来ている 〜海外紙メディアの放射線報道〜
It is Time to Hold Nuclear Fear Mongers Accountable.
by DAVID ROPEIK JANUARY 17, 2013, 10:00 AM
放射線の恐怖を煽る怪物たちに、責任を問うべき時に来ている
http://bigthink.com/risk-reason-and-reality/it-is-time-to-hold-nuclear-fear-mongers-accountable
ネイチャーの記事が報告しているように実際の放射線の健康被害ではなく、過剰に喧伝され煽られた放射線への恐怖からくるストレスなどの副作用が問題視すべきレベルにある。それらの恐怖感の与える被害について、過剰に放射線の影響を煽る個人や組織は責任を問われるべきである。)


 泉田裕彦知事、貴方もまた“放射線の恐怖を煽る怪物”です。
 貴方が放射線どうこうと言おうとするのは勝手ですが、“実際に起きた被害や影響のデータを列挙する事無く、只々恐怖を煽るばかりであれば、其れは差別とどう違う”のでしょうか?
 少なくとも県の行政のトップという立場であったとしても、為政者というポストは国民からの白紙委任状ではありません。貴方の個人的な好き嫌いではなく、歴とした根拠に基づいた上で為政をするのが筋であるべきでしょう。


文責;弾犀@奇蹄類


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