キプロス破綻 〜共同体幻想の終焉〜
私達が子供の頃、大人というのは実に大きく見えたものでした。
子供には持ち得ない実行力や判断力を持ち、時には尊敬すらしていましたが――成長するに連れ、其れらは極々普通に誰しもが兼ね備えているものであり、私達が見て居たものが幻想であった、と思い知らされるのが常だと思います。
例えば学校の先生であっても、所詮は只の人間であり間違いもすれば失敗もする、そんな存在です。
(聖職であるのを否定しませんが、聖人ではありえないようです)
私達がいざ同じ立場に立ってみれば、子供の頃に憧れたものは大した事ではなかった――今日はそんなお話しをしたいと思います。
先日、EU圏でまた一つ経済史へ汚点を残しました。
キプロスの金融機関が不良債権を抱えたため(多くはギリシャ国債等ですが)破綻してしまう。其の前にEUから融資を受けて救済されたいのですが、其の見返りとして“一定額以上に25%課税する”と言うとんでもない条件が提示されました。
はっきり言いますが、考えられる救済方法の内、限りなく最悪に近い手段です。
(救済しなかった、の次ぐらいに悪い選択肢でしょう)
リーマンブラザーズ以後、“信用不安”と言う言葉が盛んに使われました。定義は色々あるのですが、要は『危険になる“かもしれない”から、資金を引き上げる』と。
危ないと見なされた国や銀行からは資金が逃避し、結果的に破綻してしまう、と私は理解しています。
(一国で株が暴落すれば他国へ飛び火するのと一緒ですね)
まぁ難しい話では一切無く、キプロスの傷最小限度に留めるためには、『融資条件を設定せず、預金全てを保護する』事が必要だったんですね。嘗てバブル経済が終わった際、日本政府が執った政策を踏襲すれば、信用不安による資金流出はかなり軽減されたでしょう。
此が、世界です。“欧州の名だたる政治家、其れこそ金融やら政治のプロを自称し、各国の代表が集まったにも関わらず、此の程度の下策しかできない”んですね。
勿論背景には出来なかっただけの理由は存在しますよ?EUの発行額が決められていたり、キプロスのような小国(経済的な意味)以外にも、吹き飛びそうな国がひしめいている中、制限されるのも理解は出来ます。
が、しかしです。
今回EUが行った最悪の救済が“今後、他の国のモデルケースになる”と考えるのが普通です。
I have believed for some time that it is impossible for Germany, Finland and the Netherlands to be in a monetary union with Cyprus, Greece and Portugal. Either the two sides agree to adjust more symmetrically, politically and economically, or this experiment should end.
With the current policy, they will need force to keep it going against the interests of the people. You do not need to be a eurosceptic to conclude that such a monetary union is also deeply immoral.
つまりは“キプロスでの預金封鎖&強制課税が取られる”かも知れないため、他の国からも資金がどんどん出ていって仕舞いかねない、と言う話です。
救いがたいと言いましょうか、度し難いと嘆いたらいいのか、迷う所です。
結論です。結局何だかんだ言った所で、どんな肩書きを持とうとも、と如何様な権威があったとしても、世界を動かしているのは此の程度のリスクすら鑑みられない人間達なんですね。
学生や素人、ましてや私のような愚犀ですら少し調べた常識の範囲内で分かるような事が、分からない。分かろうとしないのか、もっと大きなリスクを回避するためなのかは知りませんが。
(そして信用不安による連環した破綻より、一体何を恐れるのか理解出来ませんが)
何と言いましょうか、こう、世界はどんどん混沌としてきています。欧州最高の頭脳を誇る(筈の)EUですら、以上のような大失策をやらかす始末。
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子供には持ち得ない実行力や判断力を持ち、時には尊敬すらしていましたが――成長するに連れ、其れらは極々普通に誰しもが兼ね備えているものであり、私達が見て居たものが幻想であった、と思い知らされるのが常だと思います。
例えば学校の先生であっても、所詮は只の人間であり間違いもすれば失敗もする、そんな存在です。
(聖職であるのを否定しませんが、聖人ではありえないようです)
私達がいざ同じ立場に立ってみれば、子供の頃に憧れたものは大した事ではなかった――今日はそんなお話しをしたいと思います。
先日、EU圏でまた一つ経済史へ汚点を残しました。
キプロス支援:多額預金に25%課税…EUなどと合意(2013-0324)
キプロス政府は23日、欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)の支援の条件となる自力での資金調達策を巡り、国内最大手のキプロス銀行の10万ユーロ(約1230万円)超の預金に25%課税することで、EU、IMF、欧州中央銀行(ECB)の代表団と合意したと明らかにした。同日中に法案をまとめ、24日の議会採決を目指す。キプロス支援の環境が整う可能性が出てきたが、預金課税には議会の反対が根強く、法案が成立するかはなお流動的だ。
(以下略・引用終了)
キプロスの金融機関が不良債権を抱えたため(多くはギリシャ国債等ですが)破綻してしまう。其の前にEUから融資を受けて救済されたいのですが、其の見返りとして“一定額以上に25%課税する”と言うとんでもない条件が提示されました。
はっきり言いますが、考えられる救済方法の内、限りなく最悪に近い手段です。
(救済しなかった、の次ぐらいに悪い選択肢でしょう)
リーマンブラザーズ以後、“信用不安”と言う言葉が盛んに使われました。定義は色々あるのですが、要は『危険になる“かもしれない”から、資金を引き上げる』と。
危ないと見なされた国や銀行からは資金が逃避し、結果的に破綻してしまう、と私は理解しています。
(一国で株が暴落すれば他国へ飛び火するのと一緒ですね)
まぁ難しい話では一切無く、キプロスの傷最小限度に留めるためには、『融資条件を設定せず、預金全てを保護する』事が必要だったんですね。嘗てバブル経済が終わった際、日本政府が執った政策を踏襲すれば、信用不安による資金流出はかなり軽減されたでしょう。
此が、世界です。“欧州の名だたる政治家、其れこそ金融やら政治のプロを自称し、各国の代表が集まったにも関わらず、此の程度の下策しかできない”んですね。
勿論背景には出来なかっただけの理由は存在しますよ?EUの発行額が決められていたり、キプロスのような小国(経済的な意味)以外にも、吹き飛びそうな国がひしめいている中、制限されるのも理解は出来ます。
が、しかしです。
今回EUが行った最悪の救済が“今後、他の国のモデルケースになる”と考えるのが普通です。
Eurozone break-up edges even closer By Wolfgang
Munchau
ユーロ圏の分裂の危険が近くなったとさえ言える By Wolfgang
Munchau(2013-0324)
March 24, 2013 6:29 pm
(大幅に前略)
What happened last week is a fitting example of European
political leaders, in a most unprofessional pursuit of narrow national
interests, failing to defend the common good.
先週起こったことはヨーロッパの政治指導者が狭い国益の視野に囚われて、より広範な公共の善を守ることに失敗したというプロにあるまじき悪例である。
I have believed for some time that it is impossible for Germany, Finland and the Netherlands to be in a monetary union with Cyprus, Greece and Portugal. Either the two sides agree to adjust more symmetrically, politically and economically, or this experiment should end.
私はこのところ、ドイツ、フィンランド、オランダがキプロス、ギリシャ、ポルトガルなどと単一共通通貨、EMUに同居することが不可能ではないかと思っている。両者が対称性を保って、政治的経済的に調整に同意する事が出来ないならユーロという実験は終わるだろう。
With the current policy, they will need force to keep it going against the interests of the people. You do not need to be a eurosceptic to conclude that such a monetary union is also deeply immoral.
現在の(緊縮財政)政策を続行することで、指導者等は人々の意志に反した方向に行く。そういうマネタリー・ユニオンというのは批判的にならざるをえないものでイモラルでもある。
(引用終了・外電さんへ感謝を)
つまりは“キプロスでの預金封鎖&強制課税が取られる”かも知れないため、他の国からも資金がどんどん出ていって仕舞いかねない、と言う話です。
救いがたいと言いましょうか、度し難いと嘆いたらいいのか、迷う所です。
結論です。結局何だかんだ言った所で、どんな肩書きを持とうとも、と如何様な権威があったとしても、世界を動かしているのは此の程度のリスクすら鑑みられない人間達なんですね。
学生や素人、ましてや私のような愚犀ですら少し調べた常識の範囲内で分かるような事が、分からない。分かろうとしないのか、もっと大きなリスクを回避するためなのかは知りませんが。
(そして信用不安による連環した破綻より、一体何を恐れるのか理解出来ませんが)
何と言いましょうか、こう、世界はどんどん混沌としてきています。欧州最高の頭脳を誇る(筈の)EUですら、以上のような大失策をやらかす始末。
文責;弾犀@奇蹄類
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