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国連科学委員会報告書「健康に悪影響、今後も予測されない

 〜何週遅れの報道〜

 2013年、5月下旬。日本のマスコミが以下のような記事を掲載しました。


福島原発事故「健康に悪影響、今後も予測されない」 国連科学委員会が報告書案まとめる(2013-527)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS27036_X20C13A5EE8000/
福島原発事故「健康に悪影響、予測されず」 国連委
 東京電力福島第1原子力発電所事故による放射性物質の拡散が周辺住民の健康に与える影響について、国連科学委員会がまとめた報告書案が27日、明らかになった。大人や乳幼児など、年齢グループごとに全身や甲状腺への被曝(ひばく)線量を推計。いずれも線量は低いため「今回の事故による放射線で健康に悪影響は確認できず、今後も起こることは予測されない」と結論づけた。
 報告書案は国連科学委員会が2011年5月から作成してきた。27〜31日までウィーンで開く科学委の会合で内容を議論し、10月の国連総会に報告書を提出する。

 報告書案によると、福島第1 原発事故で大気中に放出された放射性物質は、放射性ヨウ素131が100〜500ペタ(ペタは1000兆)ベクレル、放射性セシウム137は6〜20ペタ ベクレル。チェルノブイリ原発事故と比べるとヨウ素131が3分の1未満、セシウム137も4分の1未満だった。
 福島県に住む住民の全身や甲状腺への 被曝線量も地域別、年代別に推計した。事故後1年間の全身への被曝線量は、福島県内(避難区域の外)に住む大人の場合で年間1〜4.2ミリシーベルト、乳 幼児は同2〜7.5ミリシーベルト。福島第1原発に近く、事故後に立ち入り禁止になった福島県浪江町で成人が同26ミリシーベルト。累積100ミリシーベ ルト未満では健康への悪影響は確認されていない。
 甲状腺への被曝線量は大人(県内の避難区域外)が年間7.8〜24ミリシーベルト、乳幼児で同33〜66ミリシーベルトと推計した。
(引用終了)


 私のような福島県に住み続けている人間にとっては、非常に有り難い内容です。

『今回の事故による放射線で健康に悪影響は確認できず、今後も起こることは予測されない』

と断言されているのですから。

 でも待って下さい。『一体この情報は何週遅れの報道でしょうか?』
 私のブログの過去記事と照らし合わせて見ていきましょう。


 2012年7月末、MIT(マサチューセッツ工科大学)の研究者の方がこう発表しています。
放射線量と科学的根拠 〜反原発と差別〜(2012-0730)
 MITが発表した研究結果に寄れば、“低レベルの長期放射線被爆の影響は殆ど無い”と言う主旨のものです。

  『約10ヶ月前には福島県民の体調は問題がない』である事が唱えられていました。
 しかし日本のテレビや新聞では何も報道しませんでした。どころか『当時は反原発デモが極めて盛ん』だったのです。


「さようなら原発10万人集会」 数万人規模の参加者がデモ行進(2012-0716)
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00227562.html

鳩山元首相がデモに参加 「再稼働やめるべき」(2012-0720)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120720-OYT1T01102.htm


 おかしいですね?『日本の報道機関はMITの報道を一切せず、反原発デモの動きだけをまるで英雄のように取り上げていた』んです。

 でもまぁ?世界屈指の研究期間とはいえ、です。日本のマスコミの能力が、具体的には他国の記事を読む力が中学生未満であるならば、仕方がないのかも知れません――此の記事が出るまでは、ですが。


放射線の恐怖を煽る怪物たちに、責任を問うべき時に来ている 〜海外紙メディアの放射線報道〜(2013-0123)

 出来ればリンク先を読んで頂きたいのですが、まとめると半年以上前の『国連の報告書』で、

  • 福島原発で亡くなった6人の死因は、がれきに押しつぶされたり、海に流されるといった事故で、放射能とは一切関係なかった。
  • 確かに0.1Sv (10 rem・#100ミリシーベルト)を超える放射線の被曝は健康に影響を与え、それは統計的に1Sv(100 rem・1000ミリシーベルト)に達するまで増加する。ただこの比較的高い線量域についても、十分に大きな母集団でない限り、影響は観察しにくい。
  • それほどの規模の放射能事件、すなわち大勢が0.1〜1Sv (10 〜100rem・#100〜1000ミリシーベルト)の放射能を浴びたのは、第二次大戦中の原爆投下だけである。

と言う結論へ達しています。


 なんて言いましょうかこう、只々、遅い。そして極めて恣意的なフィルターがかかっています。

 国連の小委員会(しかも何の法的拘束力も無い上、一方的な)の橋下市長への慰安婦発言非難決議は、その翌日に伝える一方、国連の福島県民の被曝調査書を握り潰す。それが日本のマスコミです。
(橋下市長は個人的に好きではありませんが、個人の意見や心情を国が縛るのは憲法違反な上、明らかな内政干渉であると私は考えます)

 思えば――去年の夏、日本国内で(自称)数十万人を動員した反原発デモを何処か仕組まれた感がありましたね。そう、思い出して下さい。民主党です。
 今から4年前ぐらい前、国会でカップ麺の値段やホッケの煮物、漢字テストを行っていた彼らをマスコミは絶賛しました。文化人の方々も同罪です。
 三年三ヶ月の間、マスコミが造り上げた政権が何一つ結果を残さず馬脚を現わしたがため、“次”として『反原発政党』を持ち上げた。それだけの話なのでしょう。
 彼らが望む政党を躍進させるため、国連の報告書を取り上げなかった――私の推測の域を出ませんが、タイミングとしてはピッタリですね。


 此が、日本のマスコミの姿です。ある時は国連を錦の御旗のような掲げ、ある時は完全に黙殺する。極めて愚かで日本国民を愚弄しているとしか思えません。
 マスコミがすべき事は『事実を事実のままに報道する』事であり、『尤もらしく出来もしない絵空事』を言ったり、『特定のイデオロギーだけを絶賛する』事ではないでしょう?

 私達はテレビも新聞を情報源として活用してきました。ですがもうそれも終りなのかも知れません。
 必要としている情報を流さず、特定に偏った思想に洗脳しようとする。


 それはもうカルトと何が違うのでしょうか?


文責;弾犀@奇蹄類


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