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311は終わった話 、現実に生きるという選択肢 〜原発の再稼働について〜

 最近耳にするフレーズとして『3.11は終わってない』とか『3.11を忘れるな』と言うフレーズを耳にします。主に日本の原発の再稼働や輸出に関して、反対する言論には枕詞や季語のように付属しています。
 はっきり言いますが、『3.11は2年2ヶ月前に終わって』います。そりゃまぁ当然の話です。

 当たり前の事をわざわざなんで言ったのかと言えば、『現在は復興する段階』にあるからです。
 ぶっちゃけ『いつまでも震災震災と被害者面してないで、粛々と復興させていこう』と言うだけの話。
 勿論、被災体験を教訓として生かすのは大切ですし、必要でしょう。
 でも『いつまでも寄りかかっている訳には行かない』と、私はそう考えます。


 先日、自民党の高市早苗議員が以下のような発言をしました。


高市氏政調会長「原発事故による死亡者は出てない」「廃炉まで考えると莫大なお金かかるが、稼動してる間のコストは安い」(2013-0617)
http://www.asahi.com/politics/update/0617/TKY201306170249.html
 自民党の高市早苗政調会長は17日、「事故を起こした東京電力福島第一原発を含めて、事故によって死亡者が出ている状況ではない。安全性を最大限確保しながら活用するしかない」と原発の再稼働を目指す方針を改めて強調した。
(以下略・引用終了)


 福島に住む被災者としては複雑な気持ちですし、高市議員の発言全てに同意する訳ではありませんが、内容自体には『事実』が含まれています。
 まず『放射線によって無くなった人間は居ない』事です。国連のレポートにもあるように、事故の影響は極めて皆無であると。
 次に原発を活用する、という発言に関しても、同意出来ます。
(日本のテレビ局や新聞では「事故で死んだ人は居ない」だけが取り上げられ、後に謝罪と撤回をされていますが)


 何と言いましょうか、私は、私達は『現実』に生きています。そしてこれからも生き続けなければいけません。それは、絶対です。
 従って『今の私達は、日本がこれからどのようにして在り続けるか』を考えねばいけません。決して『過去に縋って自縛するな』と。
(するのは勝手でしょうが、他人を巻き込むなと)

 私は原発の再稼働(安全基準を高めた上で)は必須だと思っています。何故ならば其れしか安定した電力の供給は見込めないからです。
 石油やガスを遣えばいい、という方もいるでしょう。また中には再生可能エネルギー(此も実は誤訳らしいのですが)の風力や太陽光発電で賄える、と言う方も居ると思います。

 でも、其れは幾つかの深刻な問題点を抱えています、


 まずはコストの面ですね。石油や石炭やガスはどの国でも使用しています。それこそ全ての国には発電所があり、それらの資源を使用しているでしょう。
 需要と供給の面から見ると『世界中で遣われている石油』と『特定の技術国でないと遣われない原子力』。さて、どちらの市場の方が安価で購入出来るでしょうか、と。
 また電気代が高い日本から企業が海外移転を果たした後、日本の産業は壊滅するでしょう。民主党の円高・株安政策も相まって、日本の製造業は瀕死の状態にまで追い込まれたのですから。
(かといって法律で縛って本社を移すな、とするのは独裁国家と代わりがないでしょうし、確実に失敗します)

 次に技術的な問題です。記事を投下して下さる外電さんへ感謝を捧げつつ、ドイツの例を見てみましょう。



 今週号のエコノミストがドイツの「グリーン・エネルギ−政策」の本命である風力発電の計画について詳しい現状評価を掲載していて、大いに興味。
 一言で言えば、風力発電に過大な期待をかけたドイツの計画は大失敗で、電力価格の高騰、北部の風力発電地帯から南部の産業地帯への大規模な送電網の建設計画は各種の反対運動や調整不足で難航、
 インターミッテントで安定的定常的な発電のできない風力発電に必要な大規模エネルギー貯蔵システムは依然としてファンタジーのレベルで、風力発電の不毛さを回避するための大胆な政策変更は必須であるが政治的に極めて厄介な問題になっている云々
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http://www.economist.com/news/special-report/21579149-germanys-energiewende-bodes-ill-countrys-european-leadership-tilting-windmills
Energy:Tilting at windmills
Germany’s Energiewende bodes ill for the country’s European leadership
Jun 15th 2013 |From the print edition
ドイツの風力発電への依存
ドイツの風力発電振興計画はドイツがヨーロッパの指導的位置を占める上で厄介者
になりそうな。 エコノミスト、15日
 現在ドイツの発電量の16%を占める原子力発電は2022年に全て停止される。ドイツの計画では2050年に80%のエネルギーは再生可能エネルギーとするとしているが、現在その比率は22%(でもすでに多くの問題を起こしている)
 2022年までにドイツは北部や北海のオフショア発電からの送電網を4000km建設する必要がある。現在までに300kmが建設されている。しかし送電網の通る地域の住民は反対運動を起こしている。(現状は計画に比べて7年遅れている)
 ビジネスマンは風力依存のグリーン・ エネルギー計画がドイツの産業を壊滅させるという。電力業界の専門家は(風力発電のインターミッテントの性格から)ブラックアウトを心配する。有権者は高 騰を続ける電力料金に憤慨している。これらの混乱は産業競争力を揺るがし、一般家庭の負担を増やす。ドイツのこだわりというのは奇妙でさえ有る。
 ドイツのグリーン勢力というのは30年前に(ソビエトの共産党の権威失墜の時期に)生まれていて、2009年選挙では国内有権者の10%を超える指示者を持つ。グリーン党は都市部で依然として有力である。
 ドイツのグリーン・エネルギー政策の 出発点はグリーン党が2000年代初期に当時のシュローダー首相のSPDの連立勢力の一部として活動し、再生可能エネルギーへの政府補助金などを導入させ た事に始まる。ドイツの再生可能エネルギーは送電網に接続する上での優先権が与えられた。これに伴うコストは電力料金に上乗せされ、エネルギー多消費型の 産業にとって大きな問題と成った。

(※此の記事へ対する外電さんのコメント)
 現在のグリーンエネルギー計画の問題点についての記述があるけれど(既出なので)省略。結局のところその問題は電力料金の高騰と計画の遅れという形で政治問題化している。
 この失敗した計画は大幅な見直しと、ファンダメンタルな変更が必要であるが。

 引用した最後のパラで言っているエコノミストの皮肉が興味深い。
 欧州統一(単一市場、統合政策、超国 家的総合メカニズム)のEUの中核たるドイツが、自国内は「脱原発」出来たとしても、すぐおとなりのフランスやチェコやポーランドが原発増設に向かうなら 何の意味があるのか?という。これは英国人らしい皮肉で、ドイツの視野狭窄症的理想主義をからかっている。
(引用終了)


 まぁ簡単に言えば、『高い・不安定・政治問題』の三重苦を強いられています。
 また加えて言うのであればドイツに“も”グリーン党と言う政党があり、国内有権者の10%の指示者、都市部で有力の政党があるんだとか。


 以上の理由から私は被災者――少なくとも福島に住む人間であっても、原発再稼働を支持します。勿論、安全の徹底はした上でとの但し書きが付きますが。
 そう言う議論をする時には「ではお前は何かあった時に責任を取れるのか?」と言われます。結論からすれば、それは、無理です。
 ですが同時に「原発再稼働をせず、日本がこのまま貧困になってしまったから、反対した人間達は責任を取るのか?」と言えば、其れもまたNOでしょう。

 そもそも『政府がどちらの意見を採ったとしても、責任を負うのは全有権者であり、国民主権である日本国民』であるでしょうし。

 私は……いえ、私達は現在に生きています。だから経済を活性化させ、私達の家族を豊かにしなければいけません。
 繰り返しますが、3.11は終わりました。今はただ、現実を知り、前を向いて歩き出す時期に来ています。



文責;弾犀@奇蹄類


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