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衰退するドイツ 〜反原発と心中する国〜

 私がマスコミを心の底から軽蔑している理由は幾つかあります。
 『嘘を吐く』事。
 先日の麻生大臣の「ナチスに学べ」発言一つを取っても、当事国であるドイツとイスラエルから抗議が皆無なのに、何故か中国・韓国・北朝鮮が大騒ぎしているだけだと。
 後は『恣意的な情報選択をする』事。
 公平・公正な方が義務づけられているのに、何故か特定の思想やイデオロギーを天の声の如く取り上げると。

 反原発も脱原発も大いに結構だとは思います。
 其れが『現実』を見ていればの話ですが。


 では『一時の政治的熱狂に取り憑かれ、大規模な脱原発に邁進するドイツ』を見てみましょうか。

 まず……そうですね、貴方は『世界各国で脱原発が進み、取り残されているのは日本だけ』なんて考えてはいませんか?
 其れは『マスコミによって取捨選択された情報だけを見てきたから』です。
 私達の(少なくとも私の住む)現実には、『太陽光発電事業は斜陽産業』になっています。


独シーメンス:太陽光発電事業を閉鎖へ、買い手がつかず (2013/06/18 11:54 JST)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MOKG5N6KLVRL01.html
 6月17日(ブルームバーグ):欧州最大のエンジニアリング会社であるドイツのシーメンスは、買い手を募っていた太陽光発電事業を閉鎖する。同事業は2011年以降、少なくとも7億8400万ユーロ(約990億円)の損失を出していた。
 同社広報担当のトルステン・ウォルフ氏が電話取材で語った。事業の閉鎖で約280人の雇用に影響があり、数千万ユーロのコストがかかる見込みだとしている。
 シーメンスは09年にイスラエルの太陽光発電システム企業を4億1800万ドルで買収。しかし、需要低迷などで撤退を表明し、昨年10月から売りに出していた。ウォルフ氏は市場環境の悪化で買い手がつかなかったと説明している。
(引用終了)


 ……なんでしょうね?見たままの、読んだままの記事といいましょうか。
 シーメンス社はシーメンス事件でお馴染みの会社……じゃ、分かりませんか。えっと、三菱のような商社兼製造……あー……財閥より、でしょうか。
 兎に角、同社は年間の売り上げが13兆円、純利益5000億円を叩き出す大手です。

 にも、関わらず。太陽光発電の需要の低下――つまり、『世界では脱原発が全く進んでいない』ため、同事業が閉鎖。
 しかも売却ですらない、閉鎖。他の企業も二の足を踏んで買い手すらつかないという異常な事態となってしまいる始末ました、

 其の理由が『コスト』です。


Posted July 9, 2013   Max Luke
ドイツは「ネルギーシフト」計画を上手く進めているとしても、依然として
原子力発電を必要とする、その理由 Max Luke(2013-0709)
http://theenergycollective.com/maxluke/246801/german-energiewende-successful-we-still-need-nuclear
世間には誤ったコスト試算があるけれど、原子力発電は依然として低炭素排出のエネルギー・オプションとしてもっとも安価で、水力、地熱、バイオマス、太陽光、風力よりも安価である。
Breakthrough研究所の分析によれば、ドイツは既に導入済みの太陽光パネルの電力の買取価格のために、今後20年間に1300億ドルを支払う。最新型の原子力発電所は150億ドルでドイツの全太陽光発電量の半分の電力を20年にわたって供給できる。
(引用終了)


 約4倍ですかね。『太陽光発電(の、買い取り価格)は原子力発電の4倍コストが嵩む』と。
(大体現時点で太陽光発電は2割程度しかフォローしてなかった筈ですが)
 ちなみに逆に言えば『太陽光発電を国へ買い取らせれば、儲かる』と考えた政商さんが、しきりに脱原発を訴え、自身は太陽光発電(しかも中国メーカー)を設置していました。
 勿論、其れらの負担を支払うのはそれぞれの国民のお金です。

 貴方が選ぶとすればどちらを選ぶのでしょうか?


 多分、私のHPをご覧頂いてる方はご存じないのだと思います。基本的に団塊と呼ばれる世代の方(あまりその呼び名は好きではないのですが)向けの記事なので、基本的に新聞やテレビだけを見ているのでしょうから。
 マスコミは事ある度に『ドイツを見習え!ドイツは正しい!日本は間違ってる!』と叫びます。まぁ其れは確かに私達日本人がドイツから学ぶべき事もあるでしょう。

 ですが、このように『世界規模で太陽光発電の需要が縮み、ドイツの大手企業の工場ですら撤退を余儀なくされている』のが現実です。
 同様に『太陽光発電の買い取り価格で、国民が多大な負担を迫られている』のも同じく、です。

 そう言った裏の――いえ、裏ですらありません。以上の記事はインターネットで幾らでも、誰でも、国籍すら問わず、無料で閲覧できる『現実』なんですね。
 其れを意図的に隠し、原発は悪だと決めつけ、反対する議論すらさせない。其れのどこが『報道』という言葉に相応しいのでしょうか?


 最後にドイツの経済・政治状態を取り扱った記事をどうぞ……タイトルに憧れます。


Merkel's European Failure: Germany Dozes on a Volcano By Jurgen Habermas August 09, 2013 ? 07:23 PM
メルケル首相の欧州政策の失敗:ドイツは火山の噴火口の上でまどろんでいる(2013-0809)
http://www.spiegel.de/international/germany/juergen-habermas-merkel-needs-to-confront-real-european-reform-a-915244.html
 メルケル政権は欧州南部諸国に大規模な経済改革を強いる一方で、同時に自己の責任を回避している。それは経済危機への対応政策の帰結として起こるべくものであるが。ドイツは近視眼的な議論に陥っていて歴史的な失敗につながるリスクを犯している
 歴史家のLudwig Dehiosの言をかりるなら「ドイツは、欧州大陸を支配するには余りにも弱体である一方、自国が諸国と同一の歩調をとるにはあまりにも強すぎる」国である。これは20世紀の破滅につながった理由の一つである。
 ドイツは(欧州危機のタイタニック船上で)ダンスをしているのではなくて、火山の噴火口の上でまどろんでいるのだ(問題の存在自体を気づいていないかのように)
 エリートは失敗しているのか?
 すべての民主主義の国は、それが値している政治家を持っている。
 だがルーチンを越える予期行動について、選挙された政治家から特有な何かがある。
 私は1945年以来英雄の必要としない国に住んでいることがうれしい。また私は少なくとも一般人が過去へ回帰するという論述を信じません。
 しかし、私は、担当するそれらの責任を取る認識の敏感さ、想像力、勇気、および自発性が物の前進へのインパクトを持っている並みはずれた状況があることに気がつきます。
(引用終了)


 此の記事の背景で指摘しているモノを列挙すれば。

ユーロ安に裏付けされたドイツの大概輸出が好調である事
しかし其の輸出も他のEU諸国が不景気では意味を成さない
それどころか信用不安の並が広がれば、そんな事すら言っていられない事態になる
本来EUを支えるべきドイツ(の、メルケル首相)は、世論を盾に他国の救済を渋り、条件をつけている
(キプロスでしてしまったように)

 でしょうか。
 個人的に面白いと思ったのは『elitesは失敗しているのか?』と『英雄を必要としない』ですかねー。
 ナチスの親衛隊は『Elite Guard』と呼ばれる上、文脈から察する『英雄』とは、どう考えても『民主主義で選ばれたヒットラー』を指しています。

 このような『EUが倒れればドイツも無事じゃないのに、其れを放置している様』はまるで独裁者を待ち望んでいるか――。



文責;弾犀@奇蹄類


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