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平和とは『力』によってもたらされる

 〜暴力によって打ち砕かれるイラクの平和〜

 まず原因から。


なぜイラクは再び急速に治安が悪化しているのか? 2014年6月11日
http://newclassic.jp/15226
◆国内での宗派対立、シリア内戦
 イラクでは、4月におこなわれた総選挙からイスラム教シーア派とスンニ派系の勢力が対立を続けている。マリキ首相が率いる与党「法治国家連合」は、選挙で第一党の座を確保したが、スンニ派系の勢力など対立者からの反発は強いままだ。
 また、イラク・アンバル州では過激派勢力「イラクとシリアのイスラム国(ISIS)」が活動を強めており、マリキ首相は政治的な対抗勢力とイラク全土で生じている暴力の両方に対処する必要がある。
 隣国・シリアでは内戦が長引いており、ISISのようなイスラム過激派の動きが活発になっており、周辺国にまでその影響が波及している。

◆治安悪化は長期化の懸念も
 米国はアフガニスタンからの完全撤退を表明し、中東政策の見直しを進めているが、シリアを中心とした各国の政情はますます不安定になっている。
 イラク政府は、全土での非常事態宣言を要請するとともに、政府軍や警 察を動員して武装勢力と大規模な交戦を続けている。しかし、各地で政府庁舎などが占拠されており、治安の悪化は長期化する可能性もある。国連によると、イ ラク国内における5月の死者は、計799人に上っており今後ますます被害が拡大することが懸念されている。
(引用終了)


 要は『二ヶ月前に出来た政権が気に食わない』と『アメリカ軍が撤退してタガが外れた』、加えて『シリアから流入』と凄い事になっているようです。武力で抑えられなくなった、のが最大の理由でしょうが。
 そしてこれに乗じてクルド人が主要都市を制圧しています


イラク、クルド部隊が北部主要都市掌握―無政府状態が深刻化
2014 年 6 月 13 日 03:33 JST
http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702304826804579620473605622710
 【バグダッド】イラクのクルド自治政府の治安部隊は12日、石油資源 豊富な北部キルクーク県の首都を掌握した。イスラム教スンニ派の過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」はシーア派の聖地2都市への進攻を 宣言するなど、イラクは全面的な無政府状態に陥りつつある。
(以下略・引用終了)


 ……なんともまぁ混沌とした状況かと。ちなみにクルド人とはフセイン大統領下のイラクでは迫害を受け続けてきました。詳しくは『ハラブジャ事件』を検索して貰えば分かりますが、『クルド人に化学兵器(しかも民間人を対象にした)を使う』など、異常なものでした。
(※私はこの一見を以て、フセイン政権へ軍事介入する根拠となり得たと思っていますが)
 危機感を覚えたのか……なんにせよ、『テロはテロ』です。
 というかクルド人がISISと『連携』しているとの情報も入っています。


Isis、バグダードへ32kmのアブグレイブで政府軍と交戦中。
「カリフ座」のバグダード、及び、シーア派の聖地、カルバラとナジャフ攻略を宣言。
他方、キルクークはクルド軍に「明け渡し」た。
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/09bf97c2-f200-11e3-9015-00144feabdc0.html?siteedition=intl#slide0。


キルクークがクルド軍に「明け渡」された状況を説明した記事。
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/6b38da90-f250-11e3-9e59-00144feabdc0.html#axzz34TM34z1N


Isisがクルド地区内で一切攻撃を行ってこなかったことを記す記事。
http://www.foreignpolicy.com/articles/2014/06/12/revenge_of_the_kurds?wp_login_redirect=0


 そして当然『この惨劇はアメリカ軍を撤退させたオバマ』という非難の声が上がり始めます。


ドイツの「Die Welt」のイラク危機の評論、英訳版(20140614)
http://www.realclearworld.com/articles/2014/06/14/obamas_mission_accomplished_moment_110584.html
 イラクとシリアで猛威をふるうISISは、アルカイダの中でさえ主流派から過激に過ぎ
と遠ざけられた分派なのだが、今やイラク第二の都市MosulとシリアのRaqqaを支配する。
 オバマ大統領の戦略、つまりグローバルな危機に巻き込まれることを避けるという行き方は、そしてアラブ地域の一部の国家の崩壊が権力の真空状態を作り出し、さまざまのテロリスト集団を育てる事になった。シリア、イラク、リビア他の国がそれである
 オバマ大統領は常にアンチブッシュの軍事外交政策を取ってきたが、アンチブッシュであること、何かをしないことが良い結果を生むとは限らない。何かをすべき時に行動しないなら、後でより高価なツケを支払わされるかもしれない
 オバマ大統領のシリアへの対処は酷いもので、リビアの安定化にも手を貸すことをせず、そうした行き方は欧州にも及ぶ。様々のテロ集団に対して欧州は米国よりも脆弱である。中東におけるテロリストの増長は、アフガニスタンのアルカイダよりも西欧にとって脅威になり得る
(引用終了)


イラク危機について英国・ガーディアンの社説から(20140615)
http://www.theguardian.com/commentisfree/2014/jun/13/crisis-in-iraq-kurds-baghdad
 イラクの状況は、それ自体が外国の介入を誘うものとなる。外部のプレィアーの中でも重要であるのはイラン、トルコ、そして第三位に米国、それに続いてサウジアラビアなどの諸国が有る。
 米国は過去の高価で長い期間に渡ったイラクとの関係にも関わらず、今では打てる手段は数少ないものになっていて、影響力は減少している。米国がイラクに軍事的支援を与えるかどうかに関わらず、ひとつの事が確実に予想できるであろう。
 つまり、イラクの強固な隣国は、バクダッドが陥落するなら介入を行うであろう。
 そうした事態になるならイラクは三分割されるのであろうか?まだ、そ れには至っていない。Isisの支配は長続きせず、より安定的なスンニ派の勢力に取って代わられるかもしれない。Isisが長続きするかどうかに関わら ず、三つの勢力の抗争するイラクの構造は政府が強力であるときには目立たないが無くなることはない。
 イラクが本当に分割されるなら、それは外部勢力の影響を阻止できないことになって、最悪の場合には、中東のスンニ・シーア対立の戦争の最前線になるだろう。オバマ大統領は昨日条件付きのイラク支援について述べたが、イラクの国内の統合というのが完全なものは期待しがたいにせよ、より多くあるべきというのが関係国の立場である。
(引用終了)


 そしてISISとは危険極まりない組織だと


モスル陥落:テロの新たな本拠地(英エコノミスト誌 2014年6月14日号)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40958
 イラク第2の都市が武装組織の手に落ちた。この組織は、世界中でジハードを遂行する
拠点となる国家の樹立を目指している。
 ・・・あまりにも狂信的で残忍なISISに、シリアのほかの反政府グループは背を向けた。アルカイダでさえISISとは縁を切った
 アルカイダが現時点では国家樹立という考えを認めていないのもその一因だが、ISISが同胞のイスラム教徒に対してさえ、あまりに残虐だからでもある。
(以下略・引用終了)


グローバルな聖戦リーダーシップのためのモスルの攻撃によるISISの介入
http://www.al-monitor.com/pulse/originals/2014/06/isis-mosul-jihad.html
 彼がザルカウィのものを疑ったので、ビン・ラディンは時間、西アフガニスタンにザルカウィを追放しました。忠誠とイラクシーア派に対する彼の極端な派閥の暴力。  しかし、イラク戦争がいったん始まると、彼はザルカウィの効率を評価しました。
(以下略・引用終了)


 9.11テロを起こしたビン・ラディン、彼が所属していた組織のアルカイダはご存じの方も多いでしょう。
 しかしそのアルカイダですら『過激』でパージした人間達がどのような者なのかは……まぁ、どうでしょうね、これ。

 さて、ここまで読んで疑問に思った方は多いでしょう。私も「あれ?」と首を傾げました。
 「ISIS、どこから武器と資金を貰っているのか?」と。

 誤解される方は多いのでしょうが、結局戦争というのも『人と物』です。どちらが欠けても成り立たず、精神論だけで乗り切るのは不可能です。
 まぁ人も金を出せば買えますし……あまり考えたくない発想ですが。


 でもって何故か声明を出す『アラブの盟主』こと、サウジアラビア


イラク危機へのサウジアラビアの公的立場(2014-0616)
http://www.thestar.com.my/News/World/2014/06/16/Saudi-Arabia-says-rejects-foreign-intervention-in-Iraq/
サウジアラビアはイラク国内の紛争への諸外国の介入を拒否する
 サウジアラビアは月曜日に、イラク国内で進行するスンニ派反政府部隊と政府の抗争
について、いかなる外国勢力の介入も拒否するとした
 Abdulaziz Khoja情報相はSPA通信社に対して、イラク政府が宗派対立を増大させるような政策を取ってこなければ、こうした事態に至らなかっただろうと述べた
 伝えられるイランと米国のイラク問題の協議の可能性についてサウジアラビアは沈黙
 サウジアラビア政府はイラク国家の一体性の維持が重要であるとして、イラクの国内問題に対する、いかなる外国の介入も拒否するとした。イラク国内での国民のコンセンサスの急速な形成が必要とした。
(引用終了)


 イラクの問題なのにどうしてサウジアラビアが?と疑問に思った方はこちらをご覧下さい。


イラクのマリキ首相、諸外国のスンニ派との共存・協調の要求に反論して(2014-0618)
http://www.reuters.com/article/2014/06/17/us-iraq-security-idUSKBN0EP0KJ20140617
 マリキ首相は文書でISILについて「イラク人の血を流さしめ、イラク国家の破壊と歴史的・宗教的施設を破壊する虐殺者であり、彼らを経済的、あるいは精神的に支持する勢力に責任を問う」と述べサウジアラビアを非難した
 マリキ首相はサウジアラビアが武装派を支援してきたとして厳しく非難した
(引用終了)


 『ISIL』とは『ISIS』と別口のアルカイダ系の武装勢力「イラク・レバントのイスラム国(Islamic State of Iraq and the Levant)」ですね。そっちもイラクで暴れています。
 つまり『イラク国内のテロはサウジアラビアが金出してんだろ!』と言っている訳ですが。信憑性の程は如何ばかりか……個人的には『クロ』だと思います。
 話は変わりますが原油が高騰して嬉しいのはどこでしょうかね?


 ……さて、結論です。『力なき正義が正義を貫くのは不可能』の、一言に尽きるでしょうね。えぇ。
 アメリカが同盟国、日米安保を結んでいる立場としては色々考えるものもあります。まぁアメリカはアメリカの国益に従っているのであり、『日本の国益がアメリカの国益に叶う』ため、同盟を結んでいるに過ぎません。
 でも、それは至極当然の話です。アメリカの政治家はアメリカ国民のための政治をすべき、国益を守るのが当たり前。
 日本の民主党・社民党。共産党のように、中国や韓国の代理人となって働く方がおかしいのです。
 時として国際社会すらもアメリカは非難される。私も正直快くは思っていません。

 けれど『比較的マシ』なのもアメリカなんですよね。シーレーンでもそうですが、日本と国益を共有する国の中で、最大且つ最も『まとも』なのがアメリカ以外に居ない
 隣国韓国はよりにもよって日本のワールドカップ、対ギリシャがあったその日に竹島沖で軍事演習をし。北朝鮮・中国は虎視眈々と日本を狙うスーツを着た獣でしかない。

 台湾であればまだまとも――しかし外省人(中国出身の台湾人)に蚕食され、呑まれつつあるのが現状。
(※次の選挙が分岐点になるでしょう)

 だから、他に、居ない。
 沖縄がどうたら言う人は居ます。気持ちも分かります。理解もしますし、共感だってあります。

 しかしよく考えて下さい――『アメリカは沖縄を返しただけマシ』では無いでしょうか?
 韓国のような不法占拠を続ける訳では無く、中国のように侵略したり、北朝鮮のように日本国民を攫ったりもしない。

 繰り返します。アメリカが一番マシなのです。


文責;弾犀@奇蹄類


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