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信頼を取り戻すためには

 〜福島からの自主避難者への支援打ち切りについて〜

 先週、木曜日だったかと思いますが、NHK19時30分のドキュメント番組が興味深いものでした。新聞を捨ててしまったので、詳しいタイトルは分かりませんが『福島・自主避難者の苦悩』的な感じだったと思います。
(※調べてから後日ご報告致します。恐らく福島県内限定の特別番組でしょうか)

 大体の内容は原発事故に伴い、福島県から自主避難された女性とその子供達が居るのですが、平成29年3月に自主避難者への住宅費支給を打ち切られるのが決定し、彼女達の悩む様を伝える……でした。
 例えば。札幌市ではマンションでは90世帯250人の母子家庭(※原文そのまま。実際には夫も健在で、離れて暮らしているに過ぎない)が自主避難されています。
 まぁ住宅費負担を取りやめになるため、どうしたら――の、次に匿名である母親が話してらっしゃいました。

「福島へは一度帰ったが、放射能の怖さに耐えられずまた戻ってきてしまった」
「こちらで暮らしたいが、夫は震災前に福島で家を買ってしまい、また両親とも同居しなくてはならない」
「また福島へ戻っても『逃げた』とか、『戻ってくるな』とか、差別されるのではと心配だ」

 ……と、こんな内容だったと思います。どこかに動画があれば是非見て頂きたい内容ですね。
 まぁ……事故直後から福島県に住み続ける人間として、彼ら彼女ら、自主避難されている方へ申し上げるとすれば、

「帰って来なくていい」

と思いますよ。そんなに不安であれば無理に戻って来なくても、この広い日本のどこかへ移住されるのが宜しいかと存じます。
 別に以前福島県に住んでいたからと言って、そこまで思い悩んで葛藤してまで帰ってくる必要はありませんよ。どこか別の場所で仲良く暮らせばいいでしょう。
 というかそこまでお悩みであるならば、“たかだか住宅費を自費負担するという当たり前の話”になって重い腰を上げるような、そんな事はないと信じています、えぇ。


 話は変わりますが――皆さんは『信用』というものをどのようにお考えですか?あぁ文字通りのものであり、含んだ特に意味はありません。
 私の場合、というか往々にしてお金では買えず(しかし『金払いがいい』という“評価”を買えない事もないのですが)、行動によって培われるものであると考えています。
 どれだけ綺麗事を言っても結局は行動へ対して評価をされるべきで、特に為政や行政に関わる人間にとってはそうでないと困ります。

 で、ですが。原発事故直後、多くの方が避難をされました。まぁ避難という『行動』をした訳ですね。それについては誰も非難されていないでしょう?
 何故ならば当時の情報量が極めて少なく、また史上最低の政治未満である民主党政権下で不安に思うのは共感も出来ますし、決して誰も責められはしないでしょう。

 でも、ですね。原発事故から4年と5ヶ月経ちました。放射線量は大幅に下がり、東京や関西の都市よりも下がってきています。また健康被害は一例も報告されていませんし、各種真っ当な機関も同じ結論を出しています。
(※WHOや国連を含む)
 そんな状況下、未だに帰って来ないという、あなた方の『行動』について非難を受けているのですが――それを理解出来ませんか?怖い怖い言いながら、今度は金がなくなったからと言ってスゴスゴ帰ってくるから文句は言わないでくれ?そんな虫の良すぎる話を聞けと?

 ドキュメント中、彼女らがしきりに口にした事で尤も印象深かったのは、

「私達だって辛い。それを理解してほしい」

との事です。まぁ否定はしませんよ。どこぞの新天地で苦労なされた事について、私は深く同情もしますし、ご苦労があったのだとも思います
 ですがね、その『理解してほしい“辛さ”』とやら、『福島県に住み続け、心ない誹謗中傷を一身受け続け、また毎日自身の放射線被害に悩み続けた私達の“辛さ”』を前にして、言えますか?
 あなた方が福島から遠く離れた場所でのうのうと暮らしている中、私達はずっと福島に住み続け、謂われのない中傷に屈する事なく耐えながら、ようやくここまで復興を遂げてきました。
 そんな中、一番辛い時にも足を運ばず、また同じ苦しみを味あわず、『住宅費の自己負担は嫌だから』というお粗末な理由で帰ってくるあなた方へいい顔をしろと?
巫山戯ていますね。

 勿論今でも、「福島が信じられない」「放射線被害が怖い」と福島を忌諱するのは結構な事です……いや、結構ではないですが。まぁその判断は個々人がすべき事で、嘘を吐いて貶めない限りはそれもまた自由です。
 同様にあなた方が“自主避難”されるのも自由です。住宅費が支給されるのは多少思う所がない訳でもありませんが、それもまた行動の一つでしょう。
 ですがその『行動』に関しての『評価』が、自主避難者達への扱いになっているのでしょう。

 よく考えてみて下さい。もしも郷土が大事、家族が大事と仰る前に少しだけ考えてみては下さいませんか?
 その“大事なものを捨てて逃げる程に、我が身が可愛かった”のでは、と。


 大きく信頼を失ったのは、それもまた行動から来ているに過ぎません。失った信頼を取り戻したいのであれば、それもまた行動によって成されるべきであり、それ以外でしてはいけないでしょう。
 テレビへ出て雄弁に喋るよりも先に、親戚友人の前で訴えた方が早いし、そうでなくは信頼が取り戻せる訳もなく。

 ……あぁこれは余談というか、あくまでも私の個人的な見解に過ぎないのですが、自主避難されてる方、仮にあなたとお呼びしましょうか。

 あなたやあなた方がどこか別の地で、福島ではないどこかへ避難したとしましょうか。
 きっと恐らくそこでは、避難した先では色々と言うでしょうね。「帰りたいの怖くて帰れない」とか、「私達は可哀想な被害者なんだ」とか――『現在私達へ宣っているのと同じように哀れな被害者を気取っている』筈です。

 で、それもまた勝手なんですが――『それを見た周囲の人間はどう思うか?』と考えた事はありませんか?
 もしも私が避難先の人間であれば、こう考えるに違いありません。

「福島から自主避難している人が居るけど、福島はそんなに危険なのか?」
「避難してきた人も口々に怖いと言ってるし、だとすれば福島は避けのがいいだろう」
「実際に逃げてきている人達が、未だに帰りたがらないんだから……」

 と、ですね。

 ……あぁもう面倒ですからはっきり言います。多分勘違いされていますから。
 あなた方自主避難者は被害者ではなく、加害者ですよ。あなた方が福島から遠く離れた地でゴチャゴチャ騒げば騒ぐ程、福島の風評被害が拡散されていきます
 そしてまた、今やっているように、多くの人間の同情を引くために『自分達は哀れな被害者なんだ!』というスタンスを崩さないんでしょう?
 でもそれは、回り回って福島を貶め、あなた方の家族や親戚、友人知人へ泥を塗っている事にいい加減気づいた方がいいですよ。考えられる頭があれば、ですが。


文責;弾犀@奇蹄類


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