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リムジン・リベラルの美しくも醜い世界

リムジン・リベラル ―― 貧しき者の味方のつもりが、なりきれない金持ちたち? 金子まい
https://www.businessinsider.jp/post-33550

 オバマよ、お前もか
(〜中略〜)
 そんなオバマ氏だが先月末、ウォール街の会 合での講演を40万ドル(日本円で約4500万円)で引き受けたと各メディアに報じられた。米大統領職を退いた後に講演代や回想録の執筆で荒稼ぎするなど というのは、何も彼に始まったことではない。前例にならって大統領時代の記録を収めた図書館や記念館の1つも建てなければならないし、NPOか慈善団体 だって創設しなければならないかもしれない。引退後の大統領は何かと入り用なのだ。
 しかし「オバマよ、お前もか」と、思わず脱 力してしまったアメリカ人も少なくなかったはず。ヒラリー氏は先の大統領選期間中、同じ理由でウォール街と闘う姿勢を最後まで有権者に信じてもらえなかっ た。今でも「リムジン・リベラル」の代表格のように扱われ続けている。今回のことだけで、オバマ氏までその不名誉リストの筆頭に名を連ねてしまったとは必 ずしも言えないが、やりきれない失望感が人々の間に広がったのは確かだし、これからも繰り返し似たような話を聞かされることになるのも確かだろう。

「リムジン・リベラル」の定義

 「アーバン・ディクショナリー」によると、「リムジン・リベラル」の定義は、「貧しき者の守護者を自負しながら、実際は富と贅沢に満ちた生活を送る金持ち」と いうことになる。銃規制を支持しながら武装したボディガードを引きつれている、資源節約のために自転車を勧めながら自家用機に乗っている、動物愛護団体を 支持しながら高級な皮のベルトや靴を愛用している。ハリウッドのセレブなんかを思い浮かべると分かりやすいかもしれない。リベラルな考えに行動が伴ってい ない、もしくはリベラルな主張が現実とかけ離れている人々。
(〜中略〜)

「リムジン・リベラル」のエピソードが生まれやすいニューヨーク
 話がそれてしまったが、政治の分野でこの手の言葉の標的になるのは、アメリカの場合だと「the Party of the People」「the Party of the Working Class」の民主党ということになる。ワーキングクラスや貧困層を代表すると主張しながら、全くその現実が分かっていないと揶揄・批判されるわけだ。
 「リムジン・リベラル」という言葉が最初に 使われたのは、1969年のニューヨーク市長選だったという。現職市長に挑戦した民主党候補が、現職市長の貧困対策・マイノリティ救済プログラムに関し て、「シルクストッキング地区」マインドで陣頭指揮するから失敗したのだと批判した。良家出身で高級住宅街のアッパーイーストサイドに住みながら、
真の貧困対策はできないという主張だ。

 ちなみに、基本的に民主党が優勢なリベラルな土壌で、桁違いの金持ちも多いニューヨークは、そんな「リムジン・リベラル」のエピソードが生まれやすい土地柄と言えるかもしれない。
 瀟洒なブラウンストーンが立ち並ぶブルック リンのある高級住宅街で、先日、バーニー・サンダース氏の新しいポスターが扉に貼ってあるのを見た。下の方に「2020」と書かれてある。先の大統領選か らサンダース氏かヒラリー氏がデフォルトで、トランプ氏のポスターなんぞ貼り出そうものなら永久村八分処分間違いなしのリベラルな地域だから、もちろん不 思議なことではない。「公立大学の授業料無償化」とか「最低賃金の引き上げ」とか、本気で支持しているのだと思う。
 が、最低賃金の仕事で住める地域ではないし、子どもをタダで公立大学に行かせたい、行かせるしかない! という家庭ではないだろうことも想像に難くないので、「リムジン・リベラル」という言葉がつい頭をよぎってしまう瞬間ではある。

(〜中略〜)
 金持ちだろうが既得権益層だろうが、弱く小さきものに寄り添おうとすることは断じて非難されるべきことではない。善良な気持ちを揶揄されたら、トホホと心が折れてしまうこともあるだろう。「リベラルはつらいよ」……。
 確かにけっこうきついだろうと思う。しかし政治家は心を折っている場合ではない。
 自分たちを「リムジン・リベラル」と呼ぶ人々の声に、その理由に耳を傾けなくては。近頃は日本の民進党にもこの言葉が時として使われることがあると聞いた。
 日本のワーキングクラスや貧困層の声は、果たして誰に聞き届けられているのだろうか。
(引用終了)


 長いために所々端折りました。なのでできれば本文をお読み下さい、かなり面白いです。
 『リムジン・リベラル』は庶民や貧者の味方――と、いいながら自分達は恵まれた環境でぬくぬくと育つ天上人生活を楽しんでいる。まただからといって一概に切り捨てるのではなく、貧者や弱者を助けようとする活動は貴いものである、ぐらいでしょうか。まとめるのであれば。
 私も常々不思議に思っていたのですが、昨年のアメリカ大統領選挙でヒラリー女史は幾度となくハリウッドスターをゲストとして招いたり、また彼らの主催する支援パーティへ出席していました。これ自体に違法性は皆無であり、まぁ自由だと言えば自由なのですが……。
 ただその、ハリウッドスターの所得でトップクラスになると年間1億ドル……今の為替で110億ですか。どんな企業だ、というぐらいのレベルですか。
 そんな彼らに「ヒラリーは弱者の味方!ウォール街の既得権益を改革できる人よ!」……と、言われても、まぁ困りますよね。あぁそうですか、良かったですね、頑張って下さい応援していますと。
 対弾対爆改造車と軍隊のような私設整備員をお供に連れ歩き、毎日毎日パーティだセレブだと上流階級の暮らしをしている彼らに、本当に下層の人間の気持ち が分かるのか。そう疑問に思われる方もおり、それはある程度の規模で存在するようです。『リムジン・リベラル』という名前か付く程度には。

 記事中にもありましたが、“だからといってセレブの献身を疑うのも間違い”だとも付け加えます。例え彼らの私生活がどれだけ派手であろうとも、それは彼らが弱者を助けようとする気持ちに偽りはなく、また私財を投げ打って役に立つ人間も多い。
(※特に東日本大震災ではレディ・ガガ女史には多大なご支援を頂きました。震災後、予定されていたツアーをキャンセルせずに来日して下さいましたし、その後も折に触れ)

 何ともまぁ考えさせられる話ですね。持てる者が持たざる者を支援、というか補助をする。それはとても美徳ですし、素晴らしい話です。
 しかしその持てる者が、人が一生かかっても稼ぎきれないだけの額を、僅か数日で稼ぐ収入であれば――「あれ?これは富の集配と再配布ができていないのではないか?」と疑いなくもなります。
 またこの手の議論をすると、「持たざる者の気持ちが分かるのは持たざる者だけだ。だから彼らに政治をさせるべきだ」と出てきます。それもある意味間違い はないのですが、そうやって特定の人間だけを優遇してしまえば民主主義は成り立ちません。生まれで逆差別をすることになりますからね。
 かといって全部を全部、国民の私財を禁じて国家の所有にすれば、社会主義・共産主義という亡霊が姿を表します。幹部だけが延々肥え太り、自浄作用の欠片 もないアレです。日本の西北に二つある国がそう“らしい”ですから、貧富の差を無くされたい方は亡命されれば宜しいかと存じますが。亡命後にメールの一つ でも頂ければ嬉しいですね。


 まぁ結局の所、ある程度は妥協と試行錯誤の繰り返しだと思います。先に述べた『持たざる者は〜だから彼らに政治をさせるべきだ』もある程度は真なんです が、ただ“持たざる者が政治的な成功を成すとも限らない”のも事実でして。真の意味で代弁者であっても、持たざる者の意図を正確に政治へ反映させ、解消さ せられるのはまた別の話です。
 だからある程度互助会なり政治団体を作り、政治家へ訴えかけて自分達の生活や環境の改善や向上を図る――勿論『法の下の平等や、不均衡の範囲内で』が一番透明であり、かつ分かりやすい。

 『リムジン・リベラル』……まぁ日本にも居ますね。大学教授やらコメンテーター、ジャーナリストの方々ですか。
 ハリウッドスターと違うのは、彼らはただの偽善者であり、私財をびた一文、労力を鉛筆一本他人のために使おうとはしないところです。綺麗事を言って、口先だけのお題目を唱えてハッピーになろうという、自己満足以外の何者でもなく。

文責;弾犀@奇蹄類


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