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東 日本大震災でご支援頂いた皆様へ

 2012 年3月11日、宮城県を中心に震度6強の地震が発生しました。また其れに伴い宮城・岩手・福島・茨城県沿岸部を大津波が襲い、多くの方々が命を落とされま した。
 私が現在居を構えているのは福島県ですが、当時の有様は酷いものでした。
 勿論宮城や岩手などに比べれば微々たるものでしょうが、福島第一原発の建屋が水蒸気爆発を起こしたせいで、人や物が集まらないという状況へと陥りまし た。

 スーパーは店を閉めたまま、また物資が届かずガソリンスタンドも開かず、非難するにも方法が無い、という生殺しのまま、私達はテレビやラジオから流れる 災害映像に怯え、止まない余震(震度5クラスが日に数回は起こりました)に震えていました。
 水道は止まり、近くの市民会館へバケツを持って並ぶ中、ラジオからは、
「放射線が多いので外出しないで下さい!」
と呼びかける声が響きます。

 国道から車が消え、線路は途中で津波に呑まれ、海路は埠頭が破壊されて使えません――文字通り、私達は陸の孤島へと閉じ込められたのです。


 そんな中、私達を救って下さった方たちが居ました。

 まずは現地に居た警察・消防、または消防団員の方々。
 いち早く緊急物資を運んで下さった自衛隊の方。
 被災したインフラの復旧に努めた民間の工事業者の方。
 援助物資を届けて下さった民間の宅配業者の方。

 其の他、宮城・岩手等へは海外からの大勢の救助隊の方々がみえ、また台湾を筆頭に多額の義援金を頂きました。
 勿論日本国民の皆様にも義援金や物資を頂き、私達被災地では多くの命が助かりました。

 私もまた被災者の一人として、命を助けられた日本国民として、援助・心配して下さった方達へ、此の場を借りて感謝の言葉を述べたく存じます。

 本当に、本当に有り難う御座いました。失ったものも数多く御座いますが、しかし私達は大切な絆を持っている、と確信する事も出来ました。




 ――さて、其れは兎も角(いや上で述べた事は紛れもなく事実ですが)、被災者として学んだ事実を幾つか書きたいと思います。
 確かに私達がご支援頂いたのは事実ですし、少なからず感謝の意を抱いているのも事実ですが、被災地の人間として不満も御座います。
 其れは決して皆様のご厚意に対して不満があるのではなく、とある団体へ対して、という事です。


 其の団体や属する方々は常日頃“人権・平和・友愛”を唱えてきました。其のお題目には非の一つもありません。ありませんが――さて、大震災という災害に 対し、何かして下さったのでしょうか?
 私達が陸の孤島に閉じ込められている時、絶望を抱えながら空腹を抱えている時、「外出しないで下さい!」とラジオが流れているのに、水道が止まっている ため給水車にバケツを持って並ばなければいけなかった時、彼らは一体、何処で、何をしていましたか?

 私は多少物資が入ってきた後、他の避難所でお手伝いをさせて頂いていた(私は市内全域に避難指示が出る可能性があるので、体力を温存しようと言ったので すが、生憎今の上司が乗り気でした)のですが、彼らの姿は殆ど見えませんでした。
 まぁ考えてみれば福島で亡くなった方の数は、他県と比べると僅かなものです。比例して災害規模も多くなるでしょうから、より悲惨な所で活動されていたん だ――そう思っていました。

 しかしネットが復旧し、テレビや新聞が正常化するにつれ、多くの情報が入ってきます。すると其処にはこういう情報がありました。

『福島県は汚染されている。人も物も、外には出すな!』
『福島県民の献血なんて欲しいと思いますか?』

 言葉を失う、と申しましょうか。一体何の仕打ちかと、私は目を疑わずには居られませんでした。
 少しネットで検索して頂ければ分かるかと存じますが、彼らは、また彼らの属する団体は平和や人権を謳っていた筈です。其れがどうして福島県への執拗な (そして法的根拠、または科学的根拠に欠ける)バッシングを先導しているのでしょうか?
 福島を復興させていこうとする中、どうして謂われのない差別を助長して居るのか?また差別を無くす(と標榜している)マスコミの方は、どうして彼らの一 方的な言い分だけを取り上げ、抗議デモを繰り返し流し、化学者や研究者の方々の言を「原子力ムラの人間!」とレッテルを貼っているのでしょうか?


 ……別に私達は多くを望む訳ではありません。只、正確に、誠実に、事実を、事実として受け入れて欲しいのです。

 彼らは被災地からの瓦礫の受け入れ(しかも福島県外の被災地から来たもの)へ体を張って、また妊婦の方を動員してダンプの前へ立ちはだかります。
 またフクシマは汚染されていると(化学的なデータも無しに)ご自身のブログやツイッターで不買運動を募ります。

 其れが、平和・人権団体のする事でしょうか?もしも貴方たち人権団体が、其の名の通りに人権を護るための団体であれば、私達福島県民への謂われ無き風評 被害を止めて下さるのでは無いのでしょうか?

 そもそも震災の時に平和・人権団体は何処に居ましたか?ボランティアへ来て下さった方々の殆どは“個人”です。よって現地で采配・配分したりする役所や NGOが活躍していました――つまり組織だったNGO(ある程度の人員を持ち、指揮系統が確立されている)は現地入りしていなかったのです。

 また私達被災者を助けて下さり、また多くの命を守って下さったのは、平和・人権団体が目の敵にして止まない自衛隊の方々です。
 能力が無いというのであれば、何故今過剰に放射線の脅威を煽り、福島県民への風評被害という差別を打ち払っては頂けないのでしょうか?
 それどころか風評被害に苦しむ私達の現状をテストケースとして用い、
「もしも○○で原発災害に見舞われれば、フクシマのような被害を受ける」
と脅しているのでしょう?
(原発被害を殊更強調するために、煽っているのでしょうか?)


 ……福島県産地の農作物を買え、とは申しません。○○しろと強制するなんて以ての外です。
 只、『どうして此の人達――平和・人権団体は“フクシマ差別”を率先して助長しているのだろうか?』と、心の隅へ留めて頂ければ幸いです。
 彼らが先鋭的な行動、例えば日本国内の原発を規制しろとする一方、隣国の原発や核開発には反応しなかったり、また自身の人権を守れと言いながら、フクシ マの人権を土足で踏みにじったりと。
 そういったダフルスタンダードが露わになって行くにつれ、彼らの“目的”が露わになって行きますから。

 ……まぁそういった糾弾や暴露をするのは、一介の犀如きがするには荷が勝ちすぎる気も致します。ですが“誰かがやってくれるだろう、責任を取ってくれる だろう”と甘えていた時代は、悪い意味で終わりそうです。

 肝心の社会の公器を称する方々は、原発再開の権限を持たない一都市の市長の方のコメントを、まるで天の声のように有り難く掲載しているだけですから。
 そして「節約すれば足りる!」「停電は関電のデロだ!」とまでこき下ろしていたのを、あっさり撤回しても非難しません。本当に彼らマスコミは分かりやす い善悪を作り出し、安易で底の浅い正義論を振り翳すのが得意です。


 繰り返します。私達は其程多くを望んではいません。
 つい先日(※後日此の部分を書き加えました)、2012年6月14日に相馬沖で試験的に漁が行われてました。
 幾つかの魚介類と蛸が水揚げされ、其のままの状態と加工した後の状態で放射線検査が行われ、いずれも測定されませんでした。
 また県内から出荷されている農産物は国の基準をクリアしたものです。

 だから買えとか、食べろとは申しません。心配であるならば忌諱されるのもごもっともでしょう。其れを否定するつもりはありません。
 またネットのみならず不安を口に出すな、とも申しません。不安であるのならば当然誰かへ訴えたくなるでしょうし、危機意識を共感されたいと思うのも人情 でしょう。

 ですが『根拠の無い思いこみやデータの裏付けのない差別』は止めて頂きたいだけです。
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