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報道しない自由とは 〜前田国交大臣問責決議〜

  日本には報道・表現の自由が認められています。よって誰であっても自由に発信する事が出来ます。


日本国憲法第二十一条 集会、結社及び言論、 出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
検閲は、これをしてはならない。通信の秘密 は、これを侵してはならない。
(以上引用終了)


 ただし他人の害になるようなもの、具体的には犯罪(被疑・容疑)者の実名報道、または特定外国人の国籍及び実名報道を規制すべき、という声 が一部で上がっています。
 前者の「罪が確定していないのだから報道は差し控えるべき」はまだ理解出来ますが(共感はしません。余所の国で実施している所は皆無なので すから)、後者の「差別を助長するから匿名(日本名)」は一生理解出来そうにありませんが。
(日本人がアメリカへ行って逮捕された際、差別を生む“かもしれない”からといって、現地での愛称「マイク」だの「ジョージ」だという外国名 で報道されるようなものです。はっきり言って不公平以外の何物でもありません)。

 このように“報道する自由”についての議論は活発に交わされています。良くも悪くも世間に問題が提起される事により、多くの方の注目を集 め、結果的に多種多様な意見を集めた上、最善の結果を導き出されれば――等と存じます。
 ですが、一方の“報道しない自由”については議論 すら行われていない――というよりもご存じの方の方が少ないでしょう。今日は其れについて取り上げたいと思います。

 日本でも報道機関が存在します。読売・朝日・毎日等々。新聞社を親会社とするテレビ局がある、といった風に。
 記者の方が取材し、記事にし、電波や紙面へ載せるという形で視聴・購読者へ情報を伝えます。最近では媒体としてインターネットが加わりまし たが。

 彼 らが伝えたい事を書き起こさなければ記事は出来ず、そういった意味で(情報の対価として広告料を貰っていたとしても)感謝しなければいけない面もあるのか も知れません。
 ですが逆 に考えてみましょう――「彼らマスコミが伝えなければ、其れは事実ではないのだろうか?」とは思いませんか?

 最初ですので軽めの“報道しない自由”の実例をご覧下さい。


政権に新たな火 種=自民が辞任要求、民主に進退論も−前田国交相問題
(2012年 04月11日)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012041100855
 前田武志 国土交通相が岐阜県下呂市長選で特定の候補者の支援を依頼する文書を地元建設業協会宛てに送付したとされる問題で、自民党の谷垣禎一総裁は 11日、前田氏の辞任を求めていく方針を明らかにした。文書送付は公職選挙法が禁じる事前運動に抵触するとの指摘もあり、民主党内には「進退問題に発展し かねない」との懸念も浮上。野田政権は新たな火種を抱えることになった。
 谷垣氏は11 日、国会内で記者団の質問に答え、前田氏について「かなりの問題だ。遺憾としか言いようがない」と批判し、「どうけじめを付けるのか」と語った。同党参院 幹部は「完全にアウト。辞めてもらわないといけない」と断言した。同党では、前田氏が辞任しない場合は、参院に問責決議案を提出すべきだとの強硬論もあ る。
 問題の文書は市長選告 示前に、下呂建設業協会の理事長に対して国交省の封筒で送付された。市長選に立候補した元民主党衆院議員について「ご指導、ご鞭撻(べんたつ)をよろしく お願いする」などとしており、前田氏の署名もあった。
 前田氏は11 日の衆院国土交通委員会で文書に署名したことは認めたが、文書の内容については「全く記憶がない」などと述べるにとどめた。
(2012/04/11 -20:40)


出処進退、調査後に判断=市長選候補への支援 依頼で−国交相
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012041300522
(2012年4月13日)
 前田武志国土交通相は13日の閣議後記者会 見で、15日投開票の岐阜県下 呂市長選候補者への支援を依頼する前田国交相の署名入り文書が地元建設業協会に郵送されていた問題について、「まだ調査中だ。全体像が私に も分からない」と述べ、閣僚辞任など出処進退は調査結果を踏まえて判断する考えを示した。 
 この問題では自民、公明両党が国交相に自発 的な辞任を求め、辞任しない場合は参院への問責決議案提出も視野に厳しく対処する構えを見せている。これに対し国交相は、「文書の中身は全く記憶がない」 と改めて釈明。「なぜこういうことになったのか、(文書への署名を要請した)同僚議員の関係もあるので民主党の協力も得て調査している」と述べるにとどめ た。
(2012/04/13-12:19)


北ミサイル ダブル問責 「環境整った」http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120415-00000070-san-pol
 北朝鮮のミサイル発射が一段落したことを受 け、自民、公明両党は週明けの国会で田中直紀防衛相と前田武志国土交通相に対する辞任要求を強める構えだ。自発的辞任をしない場合には問責決議案を参院に 提出する方針で、自民党の茂木敏充政調会長は14日、「ツートップ。恐らく問責というゴールになる」と述べた。
 田中氏は 国会での迷走答弁が続く上、ミサイル発射情報は官邸で一元化する取り決めになっていたにもかかわらず、藤村修官房長官より先に第一報を発表す る「お粗末さ」を露呈。自民、公明両党は「ミサイル対応が終わり問責案提出の環境が整った」(参院自民幹部)と判断した。予算委員会や外交防衛委員会で能 力の欠如ぶりをあぶり出し、早ければ18日にも問責案を提出する。

 一方、岐阜県下 呂市長選をめぐり地元建設業協会に特定候補の支援を依頼する文書を送付した前田氏は同日、16日の衆院国土交通委員会理事会に調査結果を報告する方針を明 らかにした。前田氏は文書内容を確認せずにサインしたなどと釈明しているが、自民、公明両党は「公職選挙法の定める不当な地位利用に当た る」などと厳しく断罪、自発的辞任を求めている。


前田国交相、16日にも進退 公選法違反疑惑  民主からも辞任論
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120416/plc12041600220000-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120416/plc12041600220000-n2.htm
(2012年4月15日)
 前田武志国土交通相は16日、岐阜県下呂 (げろ)市長選で特定候補に対する事実上の支援を要請する文書を建設業団体幹部に郵送した問題で、衆参の国土交通委員会理事会などに調査結果を報告する。 自民、公明両党は、前田氏の行為は公職選挙法違反だとして参院に問責決議案を提出し、辞任を強く求める構えだ。
 民主党内からも辞任は避けられないとの声が 出始めている。官邸サイドも国会審議への影響を抑えるため、16日中にも同氏の進退を決める可能性がある。

  問題となった文書は、下呂建設 業協会の理事長あてに告示前の今月2日付消印で郵送、下呂市長選に立候補した前民主党衆院議員、石田芳弘氏への「ご指導、ご鞭撻(べんたつ)」を依頼する内 容だ。
 文章は元市長の山田良司民主党衆院議員が作 成したが、書面には「国土交通大臣」の下に前田氏の自署があった。国交省の封筒が使われ、前田氏の名刺とともに入れられていた。

 選挙戦前 にこうした文書を送付することは、「事前運動」を禁じた公選法に抵触するおそれがある。違反なら1年以下の禁錮か30万円以下の罰金。
 さらに、公務員の 地位を利用した選挙運動とみなされると2年以下の禁錮か30万円以下の罰金になり、国交省が所管する建設業界への依頼は公務員の地位利用に 該当する可能性がある。
 藤村修官房長官は11日、前田氏に事実関係 を調査し、早急に報告するよう指示した。
(〜中略〜)
 前田氏は13日の記者会見で「同僚議員の要 請に応えてメッセージにサインしたが、こういう使われ方になるとは全く想定していなかった」と釈明。
 文書の内容についても「全く記憶がない」と 繰り返し、意図的ではないと主張している。
(以上引用終了)

 と、いった感じに“国土交通省の現職大臣が同僚の衆議院議 員に請われ、地方の市長選挙で同党所属議員(しかも元同僚だった国会議員)の応援を建設会社へ要請した”という、考え得る限りでは最悪の汚職で しょうか。
 ちなみに市長選は前田大臣が推した候補が落選しました。


下呂市長選 開票87%
http://www.city.gero.lg.jp/gyousei/view.rbz?cd=2310
○ 野村 まこと 12900(当選)
× 石田 よしひろ 8900(落選)


 続いて其の後どう落とし前をつけたのでしょうか。


市長選候補者「支援要請」問題 前田国交相の 政務秘書官が辞任へ 大臣は当面続投方針
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00221386.html
前田国土交通相は、市長選候補者への事実上の 支援要請問題を受けて、16日午後に記者会見するが、前田国交 相の政務秘書官が責任を取って辞任する一方、大臣自身は当面続投し、様子を見る方針であることがわかった。


藤村官房長官「軽率だが辞任は酷」=前田国交 相問題
時事通信2012年4月16日(月)18: 03
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/politics/jiji-120416X420.html
 藤村修官房長官は16日午後の記者会見で、 岐阜県下呂市長選の告示前に特定候補の支援を依頼する前田武志国土交通相の署名入り文書が地元建設業協会に送られた問題について「軽率だ」としながらも、 「軽率さだけで辞任というのは酷だ」と述べ、野党が求める国交相辞任に否定的な考えを示した。
(以上引用終了)


 ……うーん。私には理解しかねますが、随分と優しい対応ですね。
 「知 らなかったから許される」ですか?流石に親から12億の違法子供手当(加えて脱税)をした総理へ退陣論が出なかった党だけはあ ります。
 仮に百歩譲ってそうだとしても、同僚の山田良司議員は“国交大臣だと知って”署名を依頼したのであり、道義的にも公職選挙法的にもアウトだ と思うのですがね。


 ともあれ事件自体異様な事なのですが――此のブロ グをお読みになっている貴方、どれだけテレビや新聞で報道しましたか?
 具体的に はカップ麺の値段やナントカ還元水、果ては顔に絆創膏を貼って毎日毎晩非難された政治家が居ましたが、彼らよりも数段重い罪に問われるべき前田大臣の事件 は、一体どれだけ紙面を、時間を割きましたか?

 それどころか前田大臣 (や明らかに資質に欠ける田中大臣)へ問責決議を自民・公明党が提出しても「問責などやっている場合では無い!」とコメンテーターや社説で逆に擁護してい ませんでしたか?
 本来ならば特別番組を組み、背後関係を徹底的に追求しなければいけない程の事件ではないでしょうか?

 下らない揚げ足取りでも長く報道すればするだけ人々に影響を与え、しなければ大事な出来事でも流されてしまいます。
 此が“報 道”しない自由です。マスコミが取り上げるか取り上げないか、只其れだけで世論を動かしてしまいます。
 また今回の件はまだマシな方です。実は昨年の7月にもっと大きな出来事がありました。そちらはテレビニュースでは関西ローカル局一社しか報 道しない、という異様な事態へ陥りました。
 近い内に取り上げますので、どうぞご覧頂ければ幸いです。



 今更ですが今一度お断りを。

 もし此のブログをお読みに なって下さっている方の中に、
「マスコミが報道しないのだか ら、大切な事件じゃないんだろう」
とお考えの方は、私にお付き合 い頂かない方が宜しいかと存じます。
(非常に無礼な言い方ですが、 其の方が貴方様の有効な時間を浪費しません)

 只一言だけ言上仕るのをお許し頂けるのであれば――そうですね、例えば五年程前に「スローフード」なる特集が一斉に組まれました。
 ファストフードの対義語とでも言いましょうか、例えば昼食に時間をかけ、豪華にする事で人生にゆとりを持とう、とヨーロッパの数カ国で長々 とランチを採る人が多い事を引き合いに出していました。

 が、しかし残念ながら引き合いに出した国、ギリシャは国家的な債務不履行寸前(借金半減と融資を受けてデフォルトが回避されたと言って良い のでしょうか?)、もう片方のイタリアも同じ道を辿っている有様です。
 ……まぁ誰でも、経済的な専門家でなくとも分かる方の方が殆どでしょうが、“食事に時間をかければかける程、生産性 は低下する”んですよね。
 先 進国から新興国へ工場移転が進んでいる最中、そんな馬鹿げた事をしていれば、当然切られるわけです。
 勿論スローフードが信用不安を招いた原因ではありませんし、一因であるという見解もなされていません。また私個人としてはそういった余裕の ある生活を好ましくさえ思えます。
(私自身がブルーカラーなので、あくまで夢に留まるでしょうが)

 しかしながら日本のマスコミは持ち上げていてスロー フードを採っていた人間達の多くは失業し、食事のグレードも当然下がっている、という現実
(厳しい言い方ですが、会社としては有能な人間程手元へ残したいでしょうし)
 もしも彼らか当時から食事にゆとりを求めず、其の時間労働していれば職を失わなかったかも知れないのに――という声は聞こえません。

 何を申し上げたかったのかと言えば、日本のマスコミは非常に無責任です。
 其の場其の場でデタラメなブームを作り上げ、恐らく其れが社会へどれだけ影響を与えるのかは考慮していません。
 まだ信じられるというのであれば、其れもまた宜しかろうと存じます。

 ただしマスメディアとは情報媒体であり、信じられるられないは宗教の範疇であり、疑われるようになったら本末転倒である、とも愚考致しま す。
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