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日 本国債と金利  〜誰でも出来る株取引〜

 6 月上旬、とある匿名掲示板を見ていたら以下のような書き込みを見つけました。

85 :日出づる処の名無し:2012/06/06(水) 15:04:50.08 ID:uOFP28I/
 今 の円高を日本が評価されていると考える単細胞のネトウヨよ
 な ら株安はどう考える?
 投 資家は日本経済のパフォーマンスを見て円を買ってるわけではなく、
 一 時的な避難先として買ってるだけだ
 投 資家は国債が国内で消化できる数年間は安全だと判断している
 国 内で消化できなくなれば今の低い利率じゃ買われなくなり、
 倭 猿の銀行は利率が1%上がるだけで8兆円の含み損になるので、
 あ ちこちでパニック売りが起こり空売りもされついには破綻する
 あ と少しで面白いものが見れそうだ(笑)
 ネ トウヨよそれまでせいぜい夢をみてるがいい


 おや?マスコミ曰く匿名掲示板は右翼の巣窟である筈なのに、何故か日本人へ対する悪意と蔑称が書き込まれていますね。
 特に”倭猿”という呼称は韓国人が日本人へ対して好んで使う言葉です。
 過去にも日韓戦で韓国代表の選手が日本人を揶揄して猿のポーズをしました。


日本人を猿扱いした韓国代表奇誠庸(キ・ソン ヨン)、FIFAから処分を受ける可能性 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110127-00000029-sanspo-socc
 韓国代表のMF奇誠庸(キ・ソンヨン、 22)=セルティック=が、国際サッカー連盟(FIFA)から処分を受ける可能性が出てきた。奇は25 日の日本戦の前半23分にPKを決めた後、カメラに向かって頬を膨らませながら左手で顔をかくなどサルのまねをした。
 奇は26日に短文投稿サイト「ツイッター」 で、観客席の 旭日旗を見て「私の胸中で涙が流れた」と説明し、その5時間後に「私は選手である前に大韓民国の国民だ」とコメント。
 日本人に 向けて意図的に人種差別的なパフォーマンスを行ったことを事実上認めた。26日付の中央日報(電子版)は、旧日本軍が旭日旗を使用していた ため、怒りを抑えられなかったとみられると指摘した。
 奇はMF中村俊輔(横浜M)も所属していた スコットランドプレミアリーグ・セルティックに在籍。サルのま ねは白人が東洋人などを侮辱する際に使うことが多く、FIFAがこれを人種差別行為と認めれば、何らかの処分は避けられない見通し。
(以下略)


 ちなみにキ選手が見たと言う旭日旗は会場内に一枚も存 在しなかった、と判明しています。とっさに日本のせいだと嘘を吐いたんですね。


サッカー日韓戦でテレ朝報じた旭日旗、実はW 杯時の映像だった! 同局が訂正、謝罪
http://sankei.jp.msn.com/sports/news/110128/scr11012814040012-n1.htm
 サッカー韓国代表のMF奇誠庸選手の「サル まね」問題で、テレビ朝日が27日の情報番組ワイド!スクランブル」(午前11時25分)で「奇選手が見た観客席の旭日旗」として紹介した写真が、別の試 合のものだったことが分かり、同局は28日、同番組で寺崎貴司アナウンサーが訂正し、視聴者に謝罪した。
 テレ朝によると、27日の同番組では、韓国 のテレビ局SBSが報じた旭日旗の映像写真をフリップで紹介。
 しかし、写真は昨年6月19日のサッカーW 杯南アフリカ大会日本対オランダ戦での観客席の様子だった。
(以下略)


 テレビ朝日はキ選手の嘘が判明してしまうため、以上の ような捏造報道へと至りました。勿論他の報道局は黙りです。

 韓国がしている日本への差別行為の数々は後日取り上げるとして、今日は上記の書き込みを検証すると共に、株や国債等の証券取引について調べてみましょ う。


 まず株や国債等は企業や機関、国家が資金を得るために発行されます。発行した後に売り出し、其の利益を発行者は得る事が出来ます。

 株券は株主優待(株式会社へ出資した者)として、ある程度経営へ口和出す権利を持ち、一般の人間よりも良いサービスを受けたり、配当(現金や新たな株 券)を受ける権利を持ちます。
 国債は償還日が1年〜10年(短いと一ヶ月、長いのは100年)程度の償還日が決められており、其の日が来れば元本と利息が手に入ります。

 どちらも有価証券と呼びます。小切手や手形と同じ、「価値のある紙」ぐらいの認識でも宜しいかと存じます。
(尤も其れを言うのであれば日本銀行券、つまり日本の紙幣も奇麗な紙切れです。原価だけを取るならば貨幣の方が高いかも知れません)


 有価証券には購入者が持ち続ける義務はありません。他 人へ譲与、売買が可能になっています。証券取引所と言う所で取引されています。一番有名なのは東証でしょうか。

 ちなみに株自体が暴落しても、発行した側である会社の懐は痛くも痒くありません。例えるならば販売した後のキムチが腐っていても、既に売買契約が成立し ているためです。
 しかしそうした行為は信用を損ね、次回からの株券を発行しても思った通りの買い手がつかない、という羽目に陥ります。

 国債の方は逆に底値がある程度決まっています。元本、 購入した価格が1000円だった場合、最低でも1000円分が返ってきます。市場価格は其れに長期金利(現在では1.2%?)を掛けた額と ほぼ同じ額で推移しています。
 仮に1000円分の国債があり、金利が1.2%だったとしましょう。此の国債が償還されれば持ち主は1012円を得られます。其の国債を例えば2000 円で買っても、差し引き980円の損、現金で持っていた方がマシかも知りませんね。
(※ただし償還時に金利が2.1%以上になると見込み、大量に買うのもまた自由です)

 金利というのは利率を指します。よく長期金利が景気の上下を表す経済指標の一つとして使われる事があります。
 もっと簡単に言ってしまえば、金利とは「銀行や国から資金を借り、返済する際に付け加える利子」ですね。
 何故此が景気指標として扱われるのかと言えば、金利は 個人・企業の経済活動に直結しているからです。


 不景気になったとしましょう。周囲の景気が悪いため、誰もお金を借りようとはしません。需要が無いと言い換えられます。
 よって金利を下げる事により、お金を借りる企業が増え るように誘導します。所謂ゼロ金利政策ですね。
 個人であっても住宅や自動車のローン等、金利が低い内に買ってしまおう、という事になります。

 逆に好景気になれば、設備投資や雇用を増やそうとする 動きが加速します。需 要が多い状態ですね。
 其の場合では多少金利が高くとも(充分に元が取れるため)、企業は借りていきます

 個人もまた好景気(所得が比例して増えている)ため、少々の浪費も止む無しと高い金利でもローンを組むでしょう。
(景気が白熱しすぎる場合、金利を引き上げて抑制を計る場合もあります)

 そういった景気によって金利・利率は変動します。更に金利によって大まかな日本国債の市場価格が決定されていきます。


 ただし例外はあり、デフォルトしそうな、または信用を 失った国家の国債は金利を無視して価値を失っていきます
 最近の例だとイタリアでしょうか。うろ覚えですが10年国債の金利が10%を超えました。向こうは不景気にも関わらず、日本の其れと比べて大分高いです ね。
 というのも国債の場合、買い手が居なければ利率を上げて応じなければいけません。具体的には1000円買って1012円返ってくるよりも、1000円 買って1100円戻る方が投資家の興味を引きやすいからです。


 数年前まで「日本は一人当たり600万円の借金!日本は破綻する!」という見出しか頻繁にテレビや新聞を飾っていました。
 曰く、日本国債や地方債を合わせると1000兆円、其の返済で日本は破産するのだそうです。
 此を家族へ例えるならば、収入が400万円の家庭で支出を800万円有り、借金が一億円を超える、日本の貯蓄を借金が超えるとホロビルン――と言うのが 彼らの主張です。

 ですがよく考えて見て下さい。“日本の 家庭は通貨を発行出来るのですか”と。

 一人当たり ○○円説が急激に消えていったのは、経済評論家の三橋貴明氏がマスコミや自称経済学者の方々のナンセンスさを、データを元にした検証で反論し てきたと時期と一致しています。詳しくは三橋氏の著書かブログをご覧下さい。

2010-08-28  国債発行では日本は借金大国にはならない
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-10632233271.html#main

 出来れば氏のブログを読んで頂いた方が分かりやすい上のですが……まぁ私が理解している範囲でご説明申し上げましょう。
(※もし三橋氏のブログと私の言に齟齬があった場合、其れは私が誤って理解しているだけです)


1.    国民一人当たり○○の借金、という嘘

 借金は貸し手と借り手が居ます。国債の場合、借り手は国です。そして貸し手は銀行や機関、または個人です。
 つまり返済の義 務を負うのは国家、そして償還された際に利益を得るのは国民ですね。
 で、あれば“国が ○○兆円借金を持つ”のに対し、“国民は○○兆円(同額)の資産を持つ”と言うのが適切です。


2.借金が資産を上回った破産する、という嘘

 日本の預貯金は確か1400兆円、其れを上回ったら破産する、んだそうです。
 ですが実は(というか常識なんですが)其の資産の中には、当然有価証券も含まれています。
 日本政府 が国債を刷れば刷る程、買われた国債の分だけ資産が増えていきます
 例えば1兆円分国債を発行したら、1兆円分資産が増えます。そんな状態でどうやったら資産を上回る事が出来るのでしょうか?


3.兎に角何でも破産する、という嘘

 よく言われるのですが、莫大な額だからとか、訳の分からない理屈を持ってきて破産すると言っています。
 しかし日本国債 は全て円建てで発行されており、人類史上自国通貨建てでデフォルト(債務履行)した国家は存在しません。
 極端な話、1000 兆円の借金があったとして、1000兆円の紙幣を刷れば、一日で借金はゼロとなります。勿論凄まじいインフレとなるでしょうが、年に少しず つ減らしていけば良いだけの話です。
 インフレは良くない、と仰る方も居るでしょうが、既に幾つかの国々が“インフレターゲット”という意図的に物価を引き上げ(正確には通貨量供給量を増や し、景気を上向かせる、という行為の結果ですが)ています。


 まぁ誰が何と否定されるのも自由ですが、現実としてア メリカを筆頭にドルを刷りまくって市場へ放ち、また公共事業を積み上げて雇用を守っています
 勿論日本にとっては喜ばしい事とは言えない(ドルが増えれば相対的に円高となるので)のですが、海外では常識です。
 ルーズベルト大統領が採ったニューディール計画のように、オバマ大統領もグリーンニューディルで公共事業で失業対策をしています。

 しかし日本では「コンクリートから人が」等と言う、安 易なスローガンを繰り返して公共事業を否定し続け、必要なインフラの整備すらも怠って来ました。
 結果生まれたのが失われた20年とやらですが、実際に は其の間も名目GDPは上昇し続け、失業率も低く抑えられている上、暴動の一つも起こりません。一体何が失敗なのかとグルーグマン氏も反省されているよ うですが。


 ――と、長くなりましたが、日本国債が低い金利でも買われているのは、買われているだけの信頼を持っているからですね。
 もしもマスコミの方にお会いしたら、是非こう聞いてみて下さい。

「日本が破綻するんだったら、どうして低い金利なのに買われているのか?」
「日本よりEUの方が破綻しそうだけど、どうして言わなかったのか?」
「5年前は海外のファンドや金融工学を見習えって言っていたのは嘘?」

 でしょうかね。まぁ十中八九、マスコミの中の方もご自 身が何を言っているのか理解出来ていないので、満足のいける答えは返ってこないでしょう。


 さて、EUの例を出しますとそれぞれの国には通貨発行 権がありません。正確には国力や経済規模に応じた分は許されていますが、其れ以上は認められていません。
 よって自国通貨を刷って返すという方法が使えません。

 また各国の通貨はバランサーの役割を持ちます。
 ギリシャがユーロ以前に使用していたドラクマ通貨だったとしましょう。通貨発行権は少し忘れてください。
 此の状態で信用不安が起こっていれば、各種銀行や機関はギリシャ国債等の有価証券を手放します。そしてドラクマからユーロかドルへ両替し、ドラクマは暴 落します。

 ギリシャ経済にとってはチャンスでもあります。
 仮に以前の半額になったとして、輸出は以前の半額で済みますし、観光客もギリシャで使う金が半分となります。よって輸出製品は大幅な値下げが可能なり、 観光客も足を運びやすくなります。
 オリーブが世界大8位なので、ある程度農業と観 光を主力にした上で、IMFの融資を受ければ数年で以前と同程度の通貨価値まで戻す――”筈”でした。

 しかし其のバランサーが働きません。
 厳密には働いているのですが、ユーロを使用している国家が多いため、現実に即した(ギリシャのドラクマが暴落するよりも)下げ幅よりもずっと緩やかで す。
(下がってくれた通貨のお陰で輸出好調のフランス・ドイツが援助しろ、と迫られています)



 さて、説明が長くなりすぎましたが、普通に国家を運営させている所の国債であれば、まず額面割れを起こしません。特に日本のような自国通貨建ては信用さ れています。

 数年前、 外貨が足りずにデフォルト寸前まで追い込まれた韓国という国があります。僅か二年程で通貨価値が半減した実績を誇ります

【外貨価値推移  比率 2007Q1〜2011Q4】

 一ヶ月で償還される前代未聞の国債を出したり、日本や中国へ通貨スワップ制度を申し込んだり、と他人の力 を当てにして何とか凌いできました
(日本のマスコミは最初から最後まで報道しませんでしたが)
 其の韓国 ですら国債は暴落していません――其れを鑑みて、一体日本がどの程度まで落ちれば、日本国債は暴落するというのでしょうか?
 信用されていない、いつか暴落する、と仰るのは自由です。自由ですが、具体的に 何が原因で、いつ、どうなるのか、ぐらいを示さない限り、個人の妄想の域を出るものではありません。

 ゼロになるまで延々下がっていく株や土地に比べ、償還 日には確実に元本が返ってくる日本国債。両者を同一視するのは、恐らく人間として理解する能力を放棄されているのか、其れともマスコミの方のように、安易 な結論へと持って行きたいのでしょう
 まぁ何にせよ人間のやっている事ですから。もしも明日にでも現政府が、
「日本国は全ての債務を不履行とする」
と宣言するだけで債務不履行が起きてしまいます。
 日本にとって何の国益にもなりませんが、0%ではないと言う事です。

 以前からEU圏の泥沼っぷりは激しく、日本以外全部沈没している状態と言ってきました。其の状態がたかが数年で直るのであれば、是非そうして欲しいです ね。



 では以上の予備知識を踏まえて、一つ一つ丁寧に回答差し上げたいと思います。

 簡単に某さんの主張をまとめればこんな感じでしょうか。

1.投資家が円を買っているのは一時的な避難先として買っている
2.投資家は国債が年内で消化できる数年間は安全だと判断している
3.国内で消化できなくなると買われなくなる
(日本の銀行は利率が1%上がると8兆円の含み損)
4.だから売る(空売り)

 改めて見てみると割と矛盾している、というか文が繋がっていませんね。恐らく何となく覚えた、其れっぽい用語を適当に繋ぎ合わせた印象を受けます。


 では順番に見ていきましょうか。


1.投資家が円を買っているのは一時的な避難先として買っている
2.投資家は国債が年内で消化できる数年間は安全だと判断している
 1は恐らく其の通りでしょう。ただし2は少し違いますね。
 投資家でもあるまいし、また投資家へアンケートを取っ たわけでもないのに、投資家のご意志を理解出来てしまう才能をお持ちですか。
 むしろ此からギリシャの十倍以上の経済規模を持つイタ リアが倒れそうだというのに、随分と楽観的な視点をお持ちでいらっしゃいますね。


3.国内で消化できなくなると買われなくなる
 国内で消化出来なくなる、の意味が分かりません。日本 国債は全てが円建てであり、其の約94%が日本人または日本の金融機関が所持しています。
 外貨建て国債とは違い、日本人にとっては確実に償還が 見込まれるため、大量に購入して償還日まで塩漬けにされている所が多いのですが、そういった現実は無視されるのでしょうか。


(日本の銀行は利率が1%上がると8兆円の含み損)
 株や証券などで買った時よりも時価が下がった状態を含み損と言います。まぁ確かに損益が発生しないとは言いませんが、其れは別に国債に限った話であ りませんよね?
 そもそも“金利が上がる=景気が回復する”と同義であ り、景気が回復すれば当然税収も上がり、国債の発行額も少なくなっています。
 国債依存度が下がるのは喜ばしい事だと思いますが


4.だから売る(空売り)
 えっと……空売りというのは、証券会社から株Aを借ります。で、借りた早々売り払います。この時の時価は100円としましょう。
 次に株Aが90円に下がりました。此の時に株Aを買います。最後に株Aを証券会社へと返し、差額の10円が利益となります。こう言った売り方を“空売 り”と言います。

 まぁ絶対に下がらないとは言いませんし、儲からないとも申しません。ですが幾らでも有価証券は存在するのに、しかも他の株と違って最低保障が 決めてられ ている国債で、其の上下がり過ぎると日銀の買いオペレーションが入って、価格を買い支えしかねない物騒な代物で遊ぶ気にはなりません。
 加えて日本国債が売られる、とは含み損を解消すべく銀 行が手放した、という事であるならば、其れは金利が上がっている=景気が良くなっている事を示しています。
 つまり金利を上げても借り手がある状態で、含み損の心 配をしても意味が無い――と、までは言いませんが、銀行側にとっては織り込み済みの自体に過ぎません。
 まさか個人投資家のように、上がる下がるか、どちらか一つだけに賭けるなんて真似をしていたら、直ぐさま破産してしまうでしょうから。

 また空売りで稼ぐ人間が居るのと同様に、“値上がりを 期待して買う層”や“優良資産として満期まで塩漬けにしたがる機関”、“底値で買って上がったら売りに出す投資家”も存在します。
 市場規模が小さく、外資大手の禿鷹ファンドに定期的にエサを提供しているような、何処かの市場と違って多くの人間が集まる以上、簡単に上下が分かる訳が ありません。


総論

 12と34は全く別の話ですよね。海外からの資金が集中したとしても、其れが国債を買っている訳でもありません。
(恐らく海外の円建て債権、サムライ債辺りを買っているものだと推測していますが)
 また仮にそうだとしても、彼らが国債を売ったとしても 手元に残るのは膨大な額の“円”です。此を日本国内へ投資すれば比例して景気は良くなります
 海外へ持ち出そうとしても外貨へ両替する必要がある ――そうすると大量の円を売ってドルやユーロが買われる事になり、大幅な円安になります。輸出企業が息を吹き返し、景気が回復する、と日本 に取っては喜ばしい事ですね。

 国債が暴落したとしても、政府は放置せずに(というか出来ずに)日銀に買い取らせます。そうすると買い取りに遣った円が市場へ溢れ、供給通貨が増え、緩 やかなインフレになり、需要が増える、と良い事ばかりですね。
(今が酷いデフレだからこそ出来る政策ですが)

 そもそもの話、書き込まれた某さんは”どうして日本が駄目(空売りの対象となる)だと思ったのか?”という前提の話へ移ります。
 先に挙げたグラフ()にある通り、殆どの通貨が対ドルで価値を下落させてい ます。此は一体何故でしょうか?
 まず原因として考えられのは投資・投機資金の流出ですね。経済・政情不安を抱える国へ投資していたが、資産を処分しドル通貨へ両替しました。其の動きが 大幅に進むと通貨価値が下落します。
 次に考えられるのは其の国が金融緩和政策を採ったためです。市場に流れる資金の流れを通常よりも増やし、景気を上向かせる効果があります。
 後は……あぁ為替介入ですかね。輸出依存度が高い国だと、自国の通貨が高くなってしまうと海外での価格も高くなります。従って為替介入して自国の為替を 引き下げる事により、対外競争を有利にします。此は中国や一部の途上国で行われています。
(やりすぎるともの凄いインフレに苦しみます)

 以上三点は幾つかの新聞、または為替の流れ、もしくは中央銀行が発表する国際収支を追っていけば、誰でも察する事が出来ます。
(実際に愚犀の私ですらグラフを作っています)
 特に投資・投機資金の流出が続いてる国は多くあり、実際に株価も下落しているのが現状です。

 其れで?『日本以 外で通貨が高騰しつつも株価が低迷している国が幾つもあるのに、日本”だけ”が”信用されていない”という根拠』は一体、どこの、何を、どういった風に解 釈すれば、其の結論を導き出せるのでしょうか?
 まさかとは思いますが、『日本以 外の通貨も上昇している事をご存じでない』なんて話は無いでしょうが。
 具体的には英国ボンド、カナダドル、ブラジルレアル、スイスフランク等々、似たような国家があるにも関わらず、どうして日本だけが信用されていないと?

 まぁ多少譲って某さんの妄想が正しいとしましょう。可能性としては某さんが大規模な投資銀行か証券会社の投資担当者であり、此から仕掛けるショートを、 たまたま、偶然、何らかの目的で匿名掲示板へ日本人の蔑称付きで漏らしてしまった、かも知れません。
(ちなみに普通の会社で業務内容を社外へ出したら、守秘義務違反の社則で罰せられますが)

 しかし信用云々 で言えば、対ドルで凄まじい下落率を記録している国家は幾らでもありますよね?例えば日本の近くには韓国という国があって、其の国は日本 円・中国元とスワップ提携(外貨が不足したら多少融通する協定)を結びました。
 つまりそういった自立出来ていない国家に比べ、日本円は信用されて居るんですよね?居なければ此所まで円高になりません。

 そういった経済的に 脆弱な国の方が空売りのような、証券の値下がりを利用した金融商品が仕掛けられやすい――そう、犀は考えていました。
  そして其れは現実にも即しているようです。


「韓国は外国資本の遊び場なのか」
(2012年06月02日12時30分 [中央日報/中央日報日本語版])
http://japanese.joins.com/article/079/153079.html?servcode=100§code=110
 欧州経済危機がまた浮上した中、ソウル市場 から欧州系資金を中心に外国資本が流出している。
(中略)
 しかし外国資本がまだ韓国を軽視していると いう印象は否めない。
 最近、米国系私募ファンドのローンスターが 韓国政府に投資家・国家訴訟(ISD)を起こすと通知した。
 外換銀行売却過程で政府の不当な介入があっ たため被害が生じたという主張だ。これに先立ちローンスターは国税庁に対し、外換銀行売却による譲渡所得税3900億ウォンを払い戻すよう更正請求をして いる。韓国を相手に無差別訴訟戦を起こすという意味と変わらない。
 また最近ソウル株式市場では外国投資 家の空売りが増えている。韓国も空売りを認めているが、株式を借りない裸売りは厳格に禁止している。株価操作と市場秩序かく乱を防ぐため だ。
 しかし先月、裸売りをした外国人投資家7人 が摘発された。空売りが集中したセルトリオンやLG電子などには、臨床試験失敗のような悪性デマが流れ、株価を人為的に引き下げた容疑が濃厚だ。
(中略)
 また裸売りが摘発されても過怠金は5000 万ウォン(約350万円)にすぎない。
 今後、国 内ヘッジファンドが認められ、空売りの比率が高まるのが明らかであるだけに、投資銘柄と投資家別の空売り情報を透明に公開し、違法な空売り に対する処罰もさらに強めなければならないだろう。
(中略)
 すでに韓国はア ジアで外国資本輸出入による変動性が最も高い国になっている。
 今は外国資本の良い機能を拡大し、副作用は 正していく時期だ。資本を呼び込もうとする過度な政策から抜け出し、もう韓国の金 融市場を外資の遊び場として放置するべきではない
(引用終了)


 おや?記事を見ると今まさに某さんか仰る所の『面白いモノ』が韓国で発生している最中ですね。
 ただし私にとってすれば全く面白くありません。
 韓国市場 を支えている韓国人の投資家・銀行等の機関のなけなしの資金で投資した株を、外国の投資家が空売りを繰り返して莫大な利益を得る――つまり韓国の株が下が れば下がる程、外資は嬉しい訳ですね。
(ある種の無間地獄のような構図です)

 日本市場は規模が大きいため、内資(個人投資家・銀行)と外資(含むファンド系)の差は大きくありません。よって外資に大きく振り回される事はありませ ん。
 具体的には格付けが何度引き下げられようとも、国債の利回りが変動せず、証券市場も微動だにしませんでした。

 対して市場が元々小さい上に、自国通貨の信用すらも他国の力がなければやっていけない程脆弱、当然与し易しと足元を見られるのは必然でしょうかね。




 余談ですが(多分書き込んだご本人様はご覧になっていないでしょうが)、袖すり合うも多生の縁、と一つご忠告を。空売りの補足を少々。

『証券が手元に無いのに出来る誰でも出来る投資!』

 ――と言うキャッチコピーで有名なのですが、下がった時点で買い取れば差額を得られます。まぁこれは良いでしょう。
 しかしもしも “上がった”場合、どうなるのかと言えば“上がった差額の分だけ支払う義務を負う”んです。
 最初に株Aを売った価格が100円、しかし株Aが101、102とどんどん上がっていきます。売れば売った瞬間に損益が発生します。
(私だったら即座に損切りしますが)
 また空売りには一定の期間が設定されており、どんな状 況でも必ず指定された時期までに買い戻さなければいけません(渋っても勝手に証券会社が買い戻しますが)。
  此の際、差損が発生してしまうと、全額を本人が支払わなければいけません。

 通常の証券取引は(信用買いを除き)手元の資産から証 券を売買します。損をしたとしても減るのは自分の資産であり、基本マイナスにはなりません
 ですが空売りは“証券会社の資産を遣ってする”ため、 失敗すれば相手に多額の借金を負った状態にまで陥ります

 恐らく、というか間違いなく空売りの意味も怖さも理解しない、素人が何となく書き込んだと推測していますが、冗談抜きで空売りは止める事を強くお勧めし ます。

 FXでも何でもそうですが、所謂プロと呼ばれる方が居ます
 其の方は証券会社でも高い評価を受け、独立して投資機関を立ち上げました。
 しかし数年後、物の見事に預かった企業年金を溶かして逮捕されます。其れが、現実です。
(投資した方があまりにも気の毒なので名前は出しませんが)
 別に彼が凄い訳ではなく、只単に彼は”たまたま勝って しまった人”なんですね。コイントスを続けて表が連続10回出てしまい、其れで自分が幸運だと勘違いした人です。

 同じように投資で資産を運用している銀行が何故大丈夫 なのか、といえば国債のような利率は低くとも確実に償還される証券を大量に買っているだけです。個人で真似しようとしても収益は微々たるも のでしょう。

 悪い事は言いませんが、日本の国債程度のバランスシートすら理解出来ない状態で、
「投資家が数年は安全だと思っている」
等と、恐らく新聞かテレビによく出ている自称専門家の言を鵜呑みにしている時点で、書かれた方は正確に現実を把握する能力に欠けています。
 海千山千 の経験を持ち、且つ現在まで生き残れる程の幸運を持つ相手に対し、現実さえ碌に見られない人間が挑んでも勝ち目は薄いかと存じます。
(加えて個人が精々1000千万程度の自己資金に対し、専門の機関はちょっとした国の国家予算を上回る資金を動かす……此で勝てると思えますか?)

 証券の取引は誰でも出来ますし、証券会社の方が間に 入って手続きして下さるので非常に容易です。
 ですが“成功する人間は殆ど居ない”という事も忘 れないで下さい。そもそも簡単に儲かるのであれば証券会社が他人へ売らず、自分達だけで運用するであろう事をお忘れ無く
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